ネット選挙活動に電子投票――公職選挙法は改正すべき?
―― 次は公職選挙法の話に移ります。1950年に成立したこの法律によって、ネットを使った選挙活動が非常に難しいことになっています。選挙公示期間中、ネットで議員の情報が見られなくなってしまうというものです。民主党はこれを変えると言っています。
堀江 これに関しては、1つは選挙公示日以降にブログやメルマガによる選挙活動が出来なくなるというのは非常に時代遅れだと思うから変えてほしい。それは政治主導で変えればいい話です。
もう1つの大事な話は、電子投票を出来るようにすること。ネットでアンケートを取ったところで、投票に行かないだろうと。東京に出てきた学生がそうだけど、地元の知らない学校に投票に行かなければならない。だったらネットで投票すりゃいいじゃないかと。
岸 本人の認証の問題があるので、まだ電子投票は難しいと思います。
堀江 なんで難しいのか分からない。たとえばね、私は選挙中、70~80歳が大半のような地域に行ったことがあるんです。そこでは皆、老人ホームにいるんですね。私はそこで演説をするべきだったんですが、行くべきだったんですよ。1回でもそこで演説をすれば、得票率は上がったかもしれない。
でも、そこは私有地なので、そこの理事の人がいいよと言ってくれないと入れないわけです。ガッチリと対立候補におさえられているんです。ただ1ヵ所だけ入れたところでは、「票は亀井さんと半分コだからね」と言われたんです。それはどういうことかと思ったら、講演を聞きにきてくれた半分は車椅子でヨボヨボの人々ばかりなんですよ。
一体、どうやってこの人たちは「堀江」と書くんだろうと思ったんですよね。おそらく、誰かが書いて、投票しているんだろうと。おそらくは介護士の人が書いているんじゃないかと。その介護士の人が書く名前というのは誰かが決めてるんだなと。これは想像ですが、そう考えると本人確認なんてまったく意味のない状況が生まれているんじゃないかと。
―― 米国での選挙の状況はどうですか?
田中 選挙というのはネット世代ではないという人にとっては「ドブ板」、地上戦をすることが票を獲得するものにつながる。アメリカの場合は個別訪問が出来るのが違い。
それを考えると、アメリカの方がもっとドブ板的なわけです。オバマは、そのドブ板に100万人のボランティアを使っている。さらにネットを使い、ドブ板をネットで再現し、マスメディアよりも情報を先に発信したんですよ。
岸 ネットはまだ、政府からするとそれだけで「いかがわしい」というイメージがあります。そのためかカルテの電子化さえも進んでいない。まだリアルのほうが安心という意識があります。
堀江 ケータイはほとんど100%近い普及率なわけですよね。ケータイでもいいわけですよ。たとえばi-modeなんかは基本的に(認証システムが)閉じているわけで、信頼性がないということはないと思うんです。
岸 それは「本人をその場で見られれば安心」という意識の問題だと思いますよ。
―― 堀江さんは若い層の投票率が上がれば政治は変わると考えられますか。
堀江 政治が変わるかどうかというより、利便性を向上すればいいというだけの話です。投票の話をするとき「与えられた権利をなんで行使しないの」と上から目線で言われている気がするんです。もっとやりやすいようにすればいいのにというだけなんですけど。