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ビデオジャーナリスト・神田敏晶氏が見た参議院選挙

インターネットだけで選挙は戦えるのか (前編)

2007年08月24日 20時33分更新

文● 神田敏晶(ビデオジャーナリスト)

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意外とネットにない、出馬に必要な情報


 出馬するために最初にアクションを起こしたのは、参議院選挙に立候補する方法を知るところからだ。調べものにはまずインターネットを使い、ネットになければ電話、それでも分からないことは出向いて聞くということを原則とした。

 ボクは基本的に「国民が知りたいと思う情報は、ネット上ですべて公開されなければならない」と考えている。そのほうが、役所側などのサービスコストを下げ、公務員や官庁の作業も削減できると思うからだ。

 参議院や選挙については、フリー百科事典“ウィキペディア(Wikipedia)”のサイトだけでも、かなりの情報を得られた。“三権分立”や“議員内閣制”といった言葉の意味も、インターネットさえあればある程度は理解できるという、便利な世の中だ。こうした情報の取得が容易になっているという事実は、“学び”という人間の基本的な学習行動にも多大な影響を与えているだろう。

 しかし、いざ立候補という視点で考えてみると、立候補に必要な供託金や具体的な手続きなど、情報が限りなく乏しい。そこで関係機関に出向いてみることにした。



比例代表で立候補するには最低“6000万円”!?


 参議院で知ることができたのは、ごく基本的なことだけだった。

 最長4年/解散ありという衆議院とは異なり、参議院の任期は最長6年間/解散なしという条件だ。242名で構成される参議院議員のうち、半数は3年ごとに選出される。毎回、半数である121の議席を巡って“参議院選挙”が行なわれるのだ。こんなことを参議院の窓口で教わったが、とはいえこんなことはネットですぐに調べられる

 結局、参議院で言われたのは、ここでは詳しいことがわからないので、選挙区の管理団体もしくは比例代表区の管理団体へ行ってくれということ。比例代表ならば総務省、選挙区ならば各都道府県が担当になるそうだ。そこで総務省に出向いて、比例代表で出馬する方法について質問してみたのだが……。

 総務省中央選挙管理会へ行くと、それだけでなぜだかアウェーな雰囲気がムンムン。奥の小部屋に案内されるけれども、大量の資料をどさっと渡される。「これをよく読んで出直してきなさい」という雰囲気に満ちあふれていた。どうやら官僚にとって、ボクは迷惑な来客であったようだ。

 総務省でもらった資料を見て分かったことは、比例代表で立候補するには政党が必須ということ。その政党を作るためには10人の立候補者と、一人あたり600万円の供託金を用意しなければならないこと(もしくは現職国会議員を有することなど)。

 つまり、比例代表で立候補するには、少なくとも6000万円の資金がかかるということだ。いかに新規参入が難しいかがわかるだろう。



選挙区なら300万円でOK


 ということで比例代表での立候補はすぐにあきらめ、選挙区を東京に絞って東京都庁にある選挙管理課へ向かった。こちらの供託金は300万円。“黄色い手引き書”に準じた内容の書類を提出するだけである。供託金はさておき、手続き自体は比例代表から立候補するよりかなり楽ちん。実際にこの作業はすべて一人で行なった。

 選挙の公示日は当初、7月5日に設定されていたが、今回は国会が何らかの理由で伸びたことによって7月12日になった。そのため、ボクが立候補を検討する期間も結果として伸びた。


*後編はこちら


筆者紹介─神田敏晶

著者近影 神田さん

KandaNewsNetwork,Inc.代表取締役、ビデオジャーナリスト。1995年よりビデオストリーミングによる個人放送局“KandaNewsNetwork”を運営開始。現在、impress.TVキャスター、早稲田大学非常勤講師、デジタルハリウッド特別講師。2007年、参議院議員選挙の東京選挙区に無所属で出馬し、1万1200票で落選。



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