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設計変更なしで稼働保証温度範囲も-5~45℃に拡大

引き算の発想で設計したデルのマイクロサーバー

2011年08月25日 08時00分更新

文● 渡邊利和

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8月24日、デルはクラウド向けの超高密度サーバーの新製品として「Dell PowerEdge C5220マイクロサーバ」の販売開始を発表した。同日販売/出荷開始で、最小構成価格は111万4050円から。

ハイパースケール向けサーバーの位置づけ

 デルでは、汎用的なエンタープライズサーバーをPowerEdgeシリーズとして販売する一方で、数万台規模のサーバーを必要とする「ハイパースケール」の顧客のためにカスタマイズされた専用モデルの提供を行なってきたという。社内でDCSと呼ばれるこのモデルはこれまで一般向けの販売は行なわれていなかったが、同社によれば従来の数万台規模のハイパースケールとエンタープライズサーバーの間に数千台規模の市場が存在していることが分かってきたという。この市場に向けて、従来DCSとして販売されていたカスタマイズモデルのうちの人気の高い構成をPowerEdgeシリーズに組み入れる形で一般販売するのが「PowerEdge Cシリーズ」であり、今回発表されたPowerEdge C5220はその中でも「高密度性重視」の設計かつ相対的に小規模向き、という性格のサーバーと位置づけられる。

 

 製品説明を行なった同社の公共・法人マーケティング本部 サーバブランド マネージャの布谷 恒和氏は、「ブレードサーバーが順調に伸び続けていることに加え、1ソケット/2ソケットのラックマウントサーバーが全出荷台数の7割近くを占めるようになってきており、デルのサーバービジネスがデータセンター向けにシフトしつつある」と明かした。C5220の市場投入は、こうした主要市場のシフトを背景に行なわれたものと見てよいだろう。

 

デル 公共・法人マーケティング本部 サーバブランド マネージャの布谷 恒和氏

 C5220はマイクロサーバーと呼ばれており、外観はブレードサーバーとよく似ているが、より単純化されている点に特徴がある。端的な差はシャーシの機能で、ブレードサーバーがシャーシ全体での統合管理機能やI/Oの共有化といった高度な機能を実装するに対し、マイクロサーバーのシャーシは実態としては小型サーバーを効率よくラックに収容するためのマウントキット的な役割に徹している。

 

 C5220では、3Uサイズのラックマウント型シャーシに対して12台または8台のスレッドサーバーを搭載して利用する。各スレッドサーバーは、電源ユニットこそシャーシ側に搭載されているが、それ以外のプロセッサー、メモリ、HDD、I/Oなどはすべて自前で備える完結したサーバとなっている。外部I/Oとして利用可能なのは事実上Ethernetに限定されており(8スレッドモデルの場合はメザニンカードのスロットを使った拡張も可能)、SAN接続ストレージなどを利用することは想定されていない。クラウド環境でプロセッサ主体で利用するスケールアウト型サーバーに特化した設計がなされており、汎用性を捨てることで大量のサーバーを高密度により安価に実装することを想定した製品だ。

 

3Uサイズのラックマウント型シャーシに対して12/8台のスレッドサーバー「CS5220」

 一般向けに市販されるのは今回が初めてとなるが、元になったDCSとしては第三世代に相当するという。もともとはヨーロッパのISPの注文で設計された2Uサイズで12サーバーという高密度サーバーだったが、より演算性能を高めるという要望に応えて第二世代に進化、さらにプロセッサーとしてSandy Bridgeに対応したのが第三世代だという。

 

 同社では、エンタープライズサーバーが汎用性を高める「システムセントリック」の方向を指向し、最新規格のI/Oを取り入れるなどの「足し算の発想」で進化していくのに対し、クラウド事業者などが必要とするハイパースケールのサーバーは「完全スケールアウト型」でハードウェア単体での冗長性を排除することでコストを下げ、演算処理に特化した「サーバセントリック」の方向を指向するという形で二極分化していくという。PowerEdge Cシリーズは、この予測に沿ってハイパースケールユーザーの要望に応える設計となっており、いわば「クラウド専用サーバー」と言った形になっている。

 

ハイパースケールユーザーの要望に応えるCシリーズ

稼働保証温度範囲を-5~45℃に拡大

 その他、データセンターを意識した取り組みとして、外気冷却への対応強化も併せて発表された。具体的には、従来の稼働保証温度範囲が10~35℃とされていたのを-5~45℃に拡大するというもの。既存製品を含めて基本的には全モデルに適用される。対応温度範囲の拡大のために何か具体的な改良/改善が行なわれたというわけではなく、以前から行なわれていた熱対策の結果、上記範囲でも特に問題なく稼働することが確認できたためだという。

 

対応温度範囲の拡大をはかった

 社内での2年近くかけた検証の結果では、室温40℃、湿度85%という従来ではとても考えられないような環境での18ヶ月に及ぶ稼働実験なども行なわれたという。その結果として、室温45℃では90時間、室温40℃なら900時間の連続稼働が可能という結果が得られ、それを踏まえて新しい保証では年間トータルの稼働時間において、室温40℃の時間が10%、室温45℃の時間が1%まで、と規定される。

 

 データセンターの効率向上のため、特別な冷却設備を使わない外気冷却/自然冷却が注目されているが、これまでの取り組みではサーバー側の対応温度範囲は従来のままという想定に基づいてファシリティ側の工夫で対応を行なっていた。しかし、サーバー側の対応温度範囲がここまで拡大されればファシリティ側の負担はぐっと軽減され、立地条件等の制約も緩和されることになる。高効率データセンターを実現する上では不可欠の取り組みとして大きな意義を持つ対応だと評価できるだろう。

 

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