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「AWS Summit Japan 2026」レポート 第3回

リージョンを使い分ける運用から「DynamoDB」設計のポイントまで

Nintendo Switch 2の新体験「ゲームチャット」の実装 低遅延とコスト効率の両立に挑むバックエンドの工夫とは

2026年06月29日 11時30分更新

文● 福澤陽介/TECH.ASCII.jp

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 「Nintendo Switch 2」では、新たな体験を提供する機能として「ゲームチャット」が搭載された。ゲームをプレイしながらフレンドと直接会話や画面共有ができる、本体内蔵のコミュニケーション機能だ。ユーザー体験を損なわないよう、そのバックエンドサーバーにはどのような設計や工夫がなされているのだろうか。

 「AWS Summit Japan 2026」のDay1(6月25日)のセッション「ゲームチャットを支える技術」では、ゲームチャットの安定運用に向けた、選択的リージョン運用や「Amazon DynamoDB」周りの試行錯誤について語られた。登壇したのは、ニンテンドーシステムズのシステム開発部 高橋良氏と吉岡幸一郎氏だ。

Switch 2の新コミュニケーション機能「ゲームチャット」

 2025年6月の発売以降、2026年3月末時点で累計販売台数1986万台に達しているNintendo Switch 2。同機で追加された新機能のひとつがゲームチャットだ。

 これは、離れた場所にいるユーザー同士がゲームをプレイしながら、ボイスチャットやビデオチャット(別売のUSBカメラが必要)を楽しめる機能で、プレイしているゲーム画面をリアルタイムに共有することも可能だ。

フレンド同士をつなげるゲームチャット

 使い方は、コントローラーに追加された「Cボタン」からメニューにアクセスし、フレンドを選んで「チャットをはじめる」ボタンを押すだけ。ゲーム中でもスムーズに利用できるよう、専用の物理ボタンやメニューが用意されているのは、本体標準搭載の機能ならではだ。

 このゲームチャットの開発体制は、任天堂が本体のUI/UXを、ニンテンドーシステムズが本体のシステムソフトウェアおよびバックエンドサーバーを担当している。本セッションでは、このバックエンドサーバー構築における試行錯誤が共有された。

WebRTC SFUをコアとした「システム構成」

 バックエンドサーバーのシステム構成、そこで採用したマルチリージョン運用の詳細については、バックエンドSREを担当する高橋氏が解説した。

 まず「サービス要件」として、音声・映像のリアルタイム通信が可能なことに加え、グループごとに最大12人まで同時接続できることが求められた。さらに、ゲームと並行して動作するため、クライアント処理の負荷が小さいこと、通信帯域を圧迫しないことも重要な要件になった。

 こうした要件を満たすため、コア技術として「WebRTC」を採用。メディアデータをUDPパケットでリアルタイム通信するための技術であり、Web会議システムやライブ配信プラットフォームなどでも利用されている。

 このWebRTCにはP2P(クライアント間直接通信)とSFU(サーバー経由通信)という2つの方式があるが、サーバー経由の通信で中継による遅延が生じるものの、必要なストリーム数が少なくすみ、通信帯域やエンコーダ数を抑えられることから、最終的にSFUを選定したという。

コア技術として「WebRTC SFU」を採用

 バックエンドサーバー全体は、大きく3つのサブ構成に分かれる。

 ひとつは、WebRTC SFUのサーバー群で、複数のAWSリージョン上に配置され、WebRTC機能に特化させている。

 2つ目は、グループの作成や参照、利用履歴の管理などのゲームチャットの周辺機能をREST APIで提供する「グループサーバー」だ。こちらは単一のAWSリージョンで運用しており、データベース(DB)には「Amazon DynamoDB」を採用している。

 最後は、SFUサーバーを監視する独自の「SFUインスタンスマネージャー」だ。このマネージャーが更新する情報は、グループサーバーと共用のDynamoDBのテーブル上に書き込まれ、グループサーバーからも参照される。こちらも単一リージョンで運用しており、リージョンを横断してSFUサーバーの状態をポーリング取得している。

WebRTC SFUサーバーを中心としたシステム構成図

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