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米マイクロソフトの開発者が日本のエンジニアに直接サービスを説明

エンタープライズ用途に耐えうるAzure Durable Functionsという選択肢

2018年11月02日 12時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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Durable FuntionsはFaaSの先を行く

 最後の15分は日本マイクロソフトの牛尾 剛氏が登壇。「デュランが話したとおり、Azure FunctionsはOSSなので、みなさんにどんどんコントリビュートしてもらいたい。僕もプルリクエストしているし、kubernetesのクラスターにデプロイしたり、AWSにデプロイすることもできます。できれば、Azureにデプロイしてもらいたいですけどね(笑)」とコメントし、事例を解説してくれるサーバーレスの鉄人を紹介した。

日本マイクロソフト シニアソフトウェア エンジニアの牛尾 剛氏

 1人目はフルスタックの鉄人であるアブノユウカ氏。アブノ氏はAzure専業のシグマコンサルティングでテックリードを担当しており、直近ではECサイトにAzure FunctionsとDurable Functionsを使っているという。「最近のEコマースでは、基幹システム、配送サービス、フロント、倉庫、決済などのシステムを統合して作ることが多いのですが、ここでの結びつきにAzure Functionsに使っています」とのこと。

シグマコンサルティングのアブノユウカ氏

 「小さいチームで、大きな仕事をしたい」という同社にとって、実行環境の構築にお金がかからず、スケールも自動で行なわれ、Azure Functionsはベストなツール。使った分だけお金を払えばよいし、無料枠もある。「実装からデプロイ、運用まで考えなければならないことを減ってきます」(アブノ氏)。

 一方でAzure Functionsでは課題も見えてきた。たとえば、障害に対するリトライと復旧、スロットリングに対するリトライ、ロングランな連携など1つのファンクションで書きにくいというステートがある点。また、システムが大きくなるほどファンクションが増えてしまうので、コードを見ただけではバッチ処理の関係などを理解するのが難しい点も感じていたという。

 しかし、Durable Functionsが登場したことで多くの課題が解決した。障害やリトライの処理が書きやすく、補償トランザクションにも対応できるようになった。また、Durable Functionsの流儀でコードを書けば、その時点でスケーラブルになり、オーケストレーターのコードを見れば、処理の順序などがわかる。アブノ氏は「Durable FunctionsはFaaSのさらに先を行くサーバーレスプラットフォームだと思っています」と語る。

Durable FunctionsはFaaSのさらに先を行くサーバーレスプラットフォーム

Durable FunctionsでNoOpsを実現したIMAGEWORKS事例

 PaaSの達人として紹介されたゼンアーキテクツの三宅 和之氏は、同社が開発・運用に携わった富士フイルムのフォトストレージサービス「IMAGE WORKS」でのDurable Functions事例を披露した。

ゼンアーキテクツ 三宅 和之氏

 「広島、優勝おめでとうございます!」と始めた三宅氏は、日本野球機構(NPB)の公式フォトストレージとしてIMAGE WORKSが採用されている点を紹介した。野球の試合で撮影されたカメラマンの公式写真はリアルタイムにIMAGE WORKSにアップロードされ、各種メディアで利用される。とはいえ、どの選手の写真なのか間違えては困るため、今まではNPBの職員が手作業で膨大な写真のタグ付けを行なっていたという。これを変えたのがAIだ。

 写真に写っている顔を認識するという処理は、昨今のAIサービスではいわば定番とも言えるもの。簡単にいくかと思っていたら、実際はピッチャーもバッターも顔が横になっていることが多く、実際は30%程度しか認識してくれなかったという。そのため、顔認識だけではなく、埋め込まれたExif情報、登板や打順などの試合情報、シーンなどを解析することで認識率を約90%にまで高めることができた。

 複数の推論アプローチをワークフローとしてつなぎあわせるのに使ったのがDurable Functions。「ワークフローの自動化においては、Durable Functionsを使うのがもっともクール。カメラマンが写真をアップロードするところから、画像加工、画像の分類、顔認識、推定処理、タグ付けのところまで完全自動化できている」と三宅氏はアピール。数百枚の画像も数分で解析でき、PaaSで作られているため、ワークフロー基盤の運用負荷もないという。

一連の作業をDurable Functionsで完全自動化したIMAGEWORKSの事例

 牛尾氏によると、Azure ADとLINE/FacebookのIDを連携させ、Durable Functionsで一斉にメッセージを配信できるシステムを構築した私立大学の事例を披露。最後に壇上に戻ってきたデュラン氏は、「エンタープライズではこれまで以上にサーバーレスの需要が高まっており、サービスも慎重に選択する必要があります。マイクロソフトはサーバーレスに真剣に取り組んでいるので、選んでもらえるとうれしいです」と語り、セッションを締めた。

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