前回はプロセッサーのロードマップを解説したが、今週は同時に発表されたチップセットと、プロセッサーロードマップに若干の補足をしたい。
Kaby Lakeにあわせて投入された
Intel 200シリーズ
まずチップセットの方。前回のチップセットアップデートは2015年8月なので、3年とは言わないまでも結構放りっぱなしだった。前回がIntel 100シリーズまでなので、おさらいも兼ねてIntel 200シリーズ以降を解説しよう。
2017年1月にKaby Lakeシリーズにあわせて投入されたIntel 200シリーズは、基本的にはIntel 100シリーズの機能拡張版といった位置づけになる。
ハイエンドがZ270で、ここから複数GPUカードのサポートを削り、若干USB/PCIeレーンを減らしたのがH270、ここからさらに低価格向けとしてRAID 0/1/5/10のサポートを削り、USB/PCIeレーンを減らしたのがB250になる。
一方ビジネス向けということで、Z270からオーバークロック機能を削り、代わりにVProやIntel SM(Standard Manageability)などシステム管理向けの機能を有効化したのがQ270、そこから廉価版として様々な機能(ついでにVProも)を無効化/削減したのがQ250になる。
Intel 200シリーズに最後に追加されたのが、2017年6月に発表/発売されたX299チップセットである。発表時点ではまだCPUの方が出荷されておらず、マザーボードだけが販売開始されるというなかなかシュールな状況が発生したものの、CPUの発売解禁にあわせて順調に発売されている。
X299はBasin Fallsというコード名で知られていたプラットフォーム向けであり、これがこのままデスクトップ向けに降りてきた形だ。
急造で間に合わせた
Z370チップセット
さて、このままCoffee Lakeを迎えるかと思ったのだが、Ryzenに対抗すべくCoffee Lakeをやや前倒し(それでも投入は結構遅れた)で突っ込むにあたり、問題になったのがチップセットであった。
Intel 200シリーズはUnion Pointというコード名が付いたシリーズで、22nmプロセスを利用して製造されていたが、この次になるIntel 300シリーズの準備がこの時点で間に合わなかった。
幸いというべきか、当初投入されたCoffee Lakeは6製品のみで、しかもハイパフォーマンス寄りなので、とりあえずZグレードだけ間に合わせれば良い、という判断が下されたようだ。
この結果、Z370はIntel 200シリーズと同じくUnion Pointをベースに作られることになった。機能的には発表記事のとおり、既存のIntel Z270とほとんど差がなく、純粋にCoffee Lakeのサポートが加わっただけだ。
悪いことに、Coffee Lakeは既存のLGA 1151パッケージと機械的形状は同じながら、電源/GNDのために余分なピンを使っており、しかもKaby Lakeまでとの区別を起動時につけられるような仕組みがないらしい(それもどうかと思うが)。
結果、技術的にはIntel 200シリーズでCoffee Lakeを動かしたり、Intel 300シリーズでKaby Lakeを動かすことは不可能ではない(実際Firmwareを書き換えて動かした例が存在する)のだが、製品レベルでは両者の間に互換性がないことになってしまった。

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