子どもから大人まで、多くの注目を集めるウェブサービス
ライブ配信(生放送)はなぜ人気で増えている? 動画とは何が違うの?
2018年01月30日 17時00分更新
昨年4月、ソニー生命保険が発表した「男子中学生が将来なりたい職業ランキング」で「YouTuberなどの動画投稿者」が3位にランクインしたことが話題になりました(高校生では10位にランクイン)。パソコンやスマホなどで手軽にYouTubeを視聴できたり、テレビ番組に出演するほど人気のある人がいたりと、非常に大きいブームが巻き起こったように思えます。子どもをもつご家庭でも、お子さんがパソコンやスマホでYouTubeを見ている、そんな光景があるのではないでしょうか。
ところで、TwitterやInstagram、ソーシャルメディアのスマートフォンアプリを開くと「ライブ」というボタンを見かけるようになったと思います。ライブと動画は何が違うのでしょう。
普段、YouTubeへ投稿された動画を見る人は多いのかもしれません。私たちが見る「動画」とは、カメラやスマホで撮影し、保存された映像データに文字を入れたり要らない部分を削ったりといった編集して、サイトへアップロードすると見てもらえるものです。
一方、ライブ……つまりライブ配信(生放送)とは「パソコンやスマホから映像を送って、瞬時にそれを見てもらえる」仕組みです。データを保存して編集しなくても、パソコンやスマホのカメラで映した「いまその場で起きている瞬間」をみんなへ伝えることができる即時性があります。
もう少し柔らかく言うと、ライブは見る人にとって「YouTubeで見ている動画がテレビのような生放送になったもの」ですし、投稿(ライブ配信)をする人からすれば「LINEのビデオ通話のように手軽な感覚でなにかを映像で伝えることができる」もの、といえるのかもしれません。
これまでの多くのウェブサービスは、文字や写真、動画を投稿することで友だちとコミュニケーションすることが主体でした。しかしこれらは、投稿をしてから見た人の反応が返ってくるまで若干の時間差がありました。
しかし、ライブが登場したおかげで「見ている人からの反応が即座に返ってくる、即時性と双方向性があるコミュニケーションの新しいカタチ」が生まれ、子どもから大人まで多くの人たちの間で人気になったのです。
視聴者も番組に参加できるのがライブ配信の楽しさ
現状、ライブ配信というと「YouTube Live」をイメージする人が多いかもしれません。YouTube Live以外にこうした「ライブ(配信)」を見ることができるサイトのひとつに「Twitcasting Live(ツイキャス)」というサービスがあります。
2010年3月から始まったツイキャスは、移動によって変わりやすい携帯電話の電波の強さに応じて、配信するときも視聴するときもストレスが少ないのが大きな特徴。いまでは当たり前となったスマホでのライブ配信に昔から注目し、ユーザーを集めてきたツイキャス。いま、配信する人も視聴する人も多い人気のサイトの代表であるといえます。
ツイキャス以外にもライブ配信をコンテンツのひとつとしているサービスは非常に増えてきています。友だちや家族との連絡に良く使うコミュニケーションツール「LINE」には「LINE LIVE」、写真を気軽に投稿することができるソーシャルメディア「Instagram」も「Instagram Live Stories」、さらに言えば動画コミュニティアプリとして人気の「Mixchannel」にも「Mixchannel Live」と呼ばれるライブ配信の仕組みがあります。つまりは多くのサービスが文字や写真、動画でのコミュニケーションのさらに一歩先のコミュニケーションのカタチとして「ライブ(配信)」に注目をしているのです。
では、ライブ配信は見ていて何が楽しいのでしょう?
どのサービスにも必ず、見ている人が画面の向こうの人に向けてメッセージを送ることができる「チャット機能」があります。テレビのようにただ見るだけではなく、テキスト(文字)メッセージやイラストを送ることで、見たことについての質問や感想を瞬時に伝えることができます。そのメッセージを見た画面の向こうの人が質問に答えたり、感想に対してのお礼を言ったりもできます。基本、その繰り返しによってライブ配信が進んでいきます。
YouTubeに投稿される動画のように決まったストーリーではなく、ライブ配信はリアルタイムに投稿されるメッセージによって、思わぬ展開へ繋がり、話が面白い方向へ進み、ちょっと先に起こる未来の展開が大きく変わっていくことがあるのが「ライブ配信を見ることの最大の楽しさ」であると思うのです。
まずは数多あるライブ配信を覗いてみるのがオススメ
ライブ配信はスマホひとつあれば誰でも手軽に放送できます。好きなものを自分も真似してみる、よくあることだと思います。とはいえ、実際どうやったらいいのか、なにを話してみればいいのか、見ている人とどのように接したらよいのか、よくわからない人も多いかもしれません。
いきなりアプリの「ライブ」ボタンを押すより、まずは他の人がやっているライブ配信を探検してみることがオススメです。
先に紹介したサービスは私たちのような一般の人でもライブをすることができますから、自分自身と世代(年齢)が近い人を探してみるのも良いでしょう。また、テレビで見かけるような芸能人やアーティストたちが出演するライブ配信も見ることができます。
その代表的なものとしては、ニッポン放送で毎週水曜日25時から放送されている「AKB48のオールナイトニッポン」と連動したSHOWROOMでのライブ配信。放送されているスタジオの様子を見ることができます。360度のVR映像も配信されていて、配信中、気になった人だけに視点を合わせて見続ける、なんてことも楽しめます。そのほか、有名人が登場するLINE LIVEの公式チャンネルを見てみるのもいいでしょう。
ライブ配信の情報はSHOWROOMやLINE LIVEなど、ライブ配信のサービスが公式で運用しているTwitterアカウントからも情報を得ることができます。まずはそちらからチェックするのも手段のひとつです。テレビでは見ることができないその人の一面を見ることもできますし、チャット機能によってメッセージを送るとそれを読み上げてくれることも。その楽しさはラジオ番組にメールを送って採用されたときの嬉しさと似ているところもあります。
これまでのテレビとはちょっと違う、ちょっと親近感を感じることができるライブ配信。まずは、覗いてみることから始めるのが楽しいと思うのです。
ライブメディアクリエイター
ノダタケオ(Twitter:@noda)
ソーシャルメディアとライブ配信・動画メディアが専門のクリエイター。2010年よりスマホから業務機器(Tricasterなど)まで、さまざまな機材を活用したライブ配信とマルチカメラ収録現場をこなす。これらの経験に基づいた、ソーシャルメディアやライブ配信・動画メディアに関する執筆やコンサルティングなど、その活動は多岐にわたる。
nodatakeo.com
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