このページの本文へ

週間リスキー 第117回

SIMフリーじゃなくても自由はそこにある

日本対応! タイのSIMロック機がなぜかアジア最強の格安ローミングスマホになる

2017年10月15日 10時00分更新

文● 山根康宏 編集●ゆうこば

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

※週間リスキーはテクノロジーとサブカルチャーの交差点から「ずっと、やんちゃデジタル」な切り口で情報をお届けする、たいへんマニアックなコーナーとなっております。初見の方はご注意ください。

 SIMロックのかかったスマートフォンは、ほかのキャリアや他国のSIMを入れて使うことができません。

 ところが、タイのキャリア・True Moveが販売している格安SIMロックスマートフォンが、日本を含むアジア全土で使えるスマートフォンになるのです。料金は8日間4GBで約1500円。タイに行く人は現地で買ってくるといいかもしれません。

アジアで使えるローミングプリペイドSIMが1500円、日本も対応

 ここ数年、海外では他国でもローミングで接続できるプリペイドSIMの種類が増えています。しかも、価格はお安め。たとえば、香港のキャリアは中国でも使えるSIMを各社が出しています。中国ではローミング扱いになるので、VPN不要で海外SNSサービスが利用できます。

 一方、タイではAISやTrueがアジアや欧米対応のプリペイドSIMを販売中。たとえばアジアなら日本含む各国で399バーツ、約1330円で8日間、4GBを利用できます。

タイのASIA対応SIMはAIS(左)とTrue Move(右)が出している

 このうちTrueのTravel SIM ASIAは日本、中国、台湾、香港、マカオ、マレーシア、インドネシア、フィリピン、カンボジア、カタール、ミャンマーなどに対応。中国でも使えるので、香港のSIM同様に中国でTwitterやFacebookが使えるウハウハなSIMとなります。

 また、日本でも利用できるので、海外販売スマートフォンに装着すれば、日本ではローミング利用として使うことが可能。日本でMVNO契約などをしなくても、このSIMでも使い方によっては常用できるかも。8日ごとに使い捨てても1ヵ月約5300円、毎週4GBが利用できるというわけです。

Travel SIM ASIAの対応国

 データ通信設定はAPNが「internet」、ユーザー名とパスワードがそれぞれ「true」。端末によっては自動設定されます。まあこのあたりはこの手のSIMを使う人は慣れているでしょう。

タイのSIMを入れて香港でローミング利用中

 ということで、低価格で日本でも使えるこれらのタイのSIMは使い方によってはかなり便利。アジアのどこかの国へ行くだけではなく、台湾→タイ→シンガポール→香港、なんて周遊時も使えるわけですから。

 また、海外から日本に来る友人知人がいるときも、日本のキャリアが発行するプリペイドSIMよりおトクなケースもあるわけです。

日本でもプリペイドSIMが増えているが、タイのSIMのほうが安いケースもある

True販売の格安SIMロックスマホが使える

 これらのSIMを使うにはSIMフリースマートフォンが当然必要になります。ところで、タイでは主にTrueが自社ブランドのスマートフォンにSIMロックをかけて、格安で販売しています。

 自社SIMしか使えないから安いのは当たり前ですよね。1万円以下で買えるSIMロックスマートフォンを常時数機種出しているので、バンコク旅行ついでに現地用に1台買うのもいいでしょう。

TrueのSIMロックスマートフォン。ちょっと変態なテンキー付きだがAndroidだ

 ところが、このTrueのSIMロック付きスマートフォンに、TrueのローミングSIMを入れるとどうなるでしょうか。当然のことながらアジア各国でそのまま使えるわけです。いままでSIMロック端末は、現地SIMで現地でしか使えないものでしたが、ローミングSIMが出てきたことで、ほかの国でもそのまま使えてしまうわけです。

TrueのSIMロックスマートフォンを韓国で利用中

 筆者はこのTrueのSIMを香港のSIM屋台で購入。日本ではアマゾンで売っている業者もいるようです。端末は以前バンコクへいった時に、おもしろそうな端末と言うことでテンキー付きAndroidを購入していました。

 しかし、バンコク旅行が終われば無用の長物で、自宅で眠っていたのです。でも、TrueのローミングSIMを入れたおかげで、香港、韓国、そして日本でも利用できました。

テザリングも利用可能。韓国滞在はこのSIMで乗り切った

 各国でどのキャリアが使えるかはTrueのウェブページに記載されています。たとえば、日本ではドコモの回線が利用可能。これには安心感があるでしょう。

 また、中国も中国移動が利用できます。同社のネットワークはTD-LTE/TD-SCDMA/GSM、FD-LTEがないのがやや不便なものの、TD-LTEネットワークはほかのキャリアよりも充実しています。

香港では3HKに接続。日本や中国は1位キャリアに繋がるのでエリアも完璧

 日本でスピードテストを実行してみたところ、下りは5~10Mbps、上りは3~10Mbps程度で、値段を考えると十分でしょう。

 繰り返しになりますが、このSIMは日本のキャリアのSIMではなく、海外キャリアのローミングSIM。それでこの速度が出ています。

 ただし、端末側の対応周波数がB1/3/7程度なので、ドコモの周波数はすべて使えるわけではありません。「ドコモの全部の周波数が使えなきゃいやだ」という人は、素直に日本で販売されているスマートフォンを買ってください。

 タイで売っている格安端末が日本でそれなりに使える、ここがポイントですからね。それにそもそも、この程度の端末をメイン端末に使う人はいないでしょう。

ドコモ回線でスピードテスト。10Mbps程度でれば十分か

 Trueの店はバンコクならあちこちにありますし、スマートフォンショップの集まる「聖地」ことMBKの携帯フロアーにも店舗があります(クレジットカード支払い可能)。

 また、MBK内の各スマートフォンショップには「これはTrueのSIMロックだからほかで使えないよ」という端末が安く売っています。でも、TrueのローミングSIMを使うのならば、そんな端末を買ってしまうのもいいでしょうね。

 SIMロック解除せずともアジア各国で使えてしまうTrueの自社ブランドスマートフォン、タイで買ったあとも活用できる便利な1台になるでしょう。

MBKにあるTrueの店。カードも使えるのでここで買うのもよい

■関連サイト

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン