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Objective-CやSwiftを学ぶキッズプログラミング講座に潜入

2016年08月28日 18時00分更新

文● 吉田ヒロ

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 みなさん、こんにちは。ASCII(週刊アスキー+ASCII.jp)編集部の吉田ヒロでございます。さて先日、大阪の梅田と心斎橋で開催されたキッズプログラミング講座を取材してきました。Objective-CやSwiftを使うなど、オトナでもちょっと難しそうな内容に取り組んでいたので印象的でした。

Storyboardで学ぶObjective-Cプログラミング

 1件目の取材先は、大阪市の協力で開催された「Osaka City Summer Programming Camp 2016」。会場は、JR大阪駅隣接の巨大施設であるグランフロント大阪を構成する4棟のビルの1つ、ナレッジキャピタルタワーCの7階。2日間に渡って開催されたイベントの2日目を取材してきました。

 このイベントは、Scratchゲーム開発コース、iPhoneアプリ開発コース、Web開発コースの3つのコースに分かれて、参加者がプログラミングを学んでいきます。参加費は無料(機材レンタルは有料)ということもあり、小学3~6年生の約50名のキッズが集まりました。ちなみに、応募者数は200名弱だったそうです。一般的にキッズプログラミングの講座は、各人の習熟度がバラバラなので少人数で開催することが多いのですが、今回のイベントでは、1テーブル5~6人程度のキッズにほぼ1人ずつ講師がついて、疑問点などを即座に答えられる体制を整えていました。

 かけ声とともに、各自の開発が始まります。

 Scratchゲーム開発コースは、この手のイベントではおなじみのビジュアルプログラミングツールである「Scrach」を使い、命令が書かれたブロックを組み合わせて、画面上のキャラクターなどに動きを付けていく内容です。またWeb開発コースは、HTMLとJavaScriptを利用してウェブアプリを開発するというコースです。

 ワタクシが重点的に取材したiPhoneアプリ開発コースは、XcodeでStoryboardと呼ばれるUI設計ツールを利用してアプリの画面表示などを学んでいくという内容です。使用言語はObjective-Cなので小学生にはかなり難解なのですが、配布されているテキストにていねいに解説されていたので、キッズたちはもくもくとプログラミングを楽しんでいました。参加者の大半はとっつきやすいScratchのコースを選んでいましたが、iPhoneのコースを受講したキッズは8名程度いました。

 大阪市の担当者に話を聞いたところ、大阪市は2020年から初等教育のカリキュラムにプログラミングの授業が導入されることを受けて、2016年4月からキッズ向けのプログラミング講座の開催などを本格的に進めていたそうです。今回のイベントでは優秀だった4名が選抜され、さらに上級の合計100時間のプログラミングの講座に無料招待されるとのこと。

 2020年からのカリキュラムはまだ不明ですが、幼い頃からプログラミングに慣れることは重要です。一方、親御さんの世代だとプログラミングはちんぷんかんぷんという人も多いので、今後は一緒にプログラミングを学べる場所を増やすべきだと感じました。

Playgroundで学ぶSwiftプログラミング

 2件目の取材先は、Apple心斎橋で開催された「キッズが作る初めてのアプリケーション」。

 プログラミングスクールを運営しているPCN大阪の森巧尚氏と福嶋伸之氏が講師を務めるイベントです。森氏はマイナビ出版が刊行する「iPhoneアプリ開発の教科書」シリーズの著者として有名ですね。このシリーズは、プログラミング系では珍しくイラストを多用したオールカラーページの書籍で人気があります。

PCN大阪の森巧尚氏(左)と福嶋伸之氏(右)

 Apple直営店で開催されるイベントだけあって、XcodeのPlaygroundでプログラミング言語のSwiftを利用してプログラミングを進めていくという内容でした。まずは、Xcodeを起動してプロジェクトファイルを作成し、Playground上で数式を入力していきます。

 四則演算の数式を入力していくだけなので簡単。キッズたちもさっそくコードを書いていきます。

 数式入力でXcodeの使い方を確認したあとは、プログラミングでよく使われる分岐処理、if文の解説が始まりました。答え(kotae)が予想(yosou)と等しく(==)なった場合に、「当たり」という文字を画面に表示する(print)するというコードです。

 そしてこのif文を利用して数当てゲームを完成させていきます。

 こちらはあらかじめプロジェクトファイルが用意されており、キッズたちはまずテキスト表示エリアや背景の色を変更します。

 そしてコーディング。まず、答え(koate)の数字がランダムに決められ、ユーザーが入力した数字(yosou)よりも答えが大きい場合は「~よりも大きいよ」、小さい場合は「~よりも小さいよ」というテキストを画面に表示します(textview.text)。数字を何回か入力していくと該当する数値が絞り込まれ、答えと予想が合致したら「当たり! ~」というテキストを表示するというプログラムです。

 イベントの時間はプログラミング講座としては短い1時間だったので、各自の進捗度にバラツキがありましたが、イベントが終了したあともキッズたちはもくもくとプログラミングを続けていたのが印象的でした。

 講師を務めた福嶋氏に話を聞いたところ、PCN大阪では小学生にはまずBASICを教えることが多いそうです。キーボードのキートップの刻印は大文字ということもあり、アルファベットを学び始める小学3年生ぐらいまではBASICのコードを入力するほうが操作に戸惑わないということでした。ちなみにPCN大阪では、BASIC、Swift、Developerの3コースを用意しており、Developerコースでは自分でアプリを開発し、App Storeでの公開を目指すという本格的なものです。

 Osaka City Summer Programming Camp 2016ではStoryboard+Objective-C、Apple心斎橋のイベントではPlayground+Swiftと、いずれもXcodeを利用したプログラミング講座でした。正直、小学生にはちょっとハードルが高いかなと感じました。しかし、今秋にリリースされるiOS 10にはiPadでSwiftを学べる「Swift Playground」というプログラミング学習アプリが付属します。このアプリが登場すれば、iPadだけでプログラミングを学べるようになるので、キッズプログラミング講座の現場も激変すると思われます。

枚方T-SITEではMacでPepperをプログラミング

 大阪・枚方市の京阪電車の枚方市駅前にある枚方T-SITEでは、Macを使ったPepperのキッズプログラミング講座が開催されました。

 4組ずつ2つのテーブルに分かれ、まずはiPad Proを使って自己紹介。 その後、コンシェルジュ(説明スタッフ)がプログラミング方法を紹介し、子供たちは親御さんと一緒にPepperにしゃべらせる言葉を入力するという作業に入ります。Pepperは3台用意されており、順番にプログラミングしていきます。

 イベントの参加者からは、「初めてMacを触って、Pepperを動かしてみたら意外と簡単だったし、面白かった」「絵が好きだから、iPadで文字や絵を描けたのも楽しかった」「Windowsユーザーで今回初めてMacを操作してみましたが、使いやすいと感じました」といったコメントが寄せられました。

 担当者によると、枚方 T-SITEのApple Authorized Resellerは、音楽・知育・健康を軸に、Apple製品を体験できるさまざなイベントを実施しているそうだ。今回のイベントは知育をテーマにしたので、Pepperを用いてMacを体験するイベントを企画したとのこと。小さいころからMacなどのApple製品を体験する機会を作ることによって、子供がITやApple製品に興味を持つきっかけを作りたいとのこと。

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