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アニメに強すぎる「AbemaTV」インタビュー

2016年08月03日 16時00分更新

文● 盛田 諒(Ryo Morita)

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※本記事はASCII倶楽部週刊アスキー電子版1089号掲載特集の抜粋記事です。

AbemaTVアニメチャンネル“中の人” 椛嶋麻菜美さん(左)、水谷誠也さん(右)

 無料のインターネットテレビ局「AbemaTV」。会員登録しなくてもパソコンやスマホからサイトにアクセスすれば放送が見られる気軽なサービスだ。

 中でも視聴者が多いのは5チャンネルあるアニメチャンネル。1980年代なつかしアニメから最新アニメの見逃し放送まで、放映しているアニメの層は広い。AbemaTVがアニメに強いと印象づけたのは人気アニメの「一挙放送」。視聴者がツイッターでAbemaTVの一挙放送を“実況”し、トレンド枠に入る(トレンド入りする)ことも増えている。

 AbemaTVのアニメチャンネルを編成しているのは椛嶋麻菜美さん、水谷誠也さんの2人。5チャンネルをわずか2人で担当しているというのも驚きだが「アニメを広い視聴者に見てほしい」という熱さに驚かされた。AbemaTVがアニメに強い理由は、2人の熱量がすべてと言ってよさそうだ。

●AbemaTVアニメチャンネル“中の人”
編成制作局 編成3部 ゼネラルマネージャー 椛嶋麻菜美(かばしま・まなみ)
編成制作局 編成3部 チャンネルプロデューサー 水谷誠也(みずたに・せいや)

「ニチアサ」担当者と「うたプリ」好き

── AbemaTVアニメ一挙放送が好評です。

 一番ヒットしたのが「新世紀エヴァンゲリオン」一挙放送で、延べ300万視聴でした。「涼宮ハルヒの憂鬱」一挙放送が延べ260万視聴。アニメは全チャンネルの中でも非常に高い数字を記録しています。

── まずはお二人の経歴を教えてください。

 私はテレビ朝日からの出向です。テレ朝ではキッズアニメ、特撮番組のコンテンツビジネスを担当したりしていました。

ニチアサ担当だった水谷さん

── おっ、いわゆる“ニチアサ”ですね。

 そうですね! サイバーエージェントに来てからはスマホゲームのプランナーやクラウドファンディングの法人営業もやっていました。そのあと、AbemaTVでアニメチャンネルをやるという話になったとき、椛嶋さんに呼んでいただいて。

 わたしはもともと子会社のCyberZで広報などの仕事をしていたのですが、AbemaTV立ち上げ時にジョインすることになり、どんなチャンネルをつくるか洗い出す中、アニメをやる人がいないというので、それなら……と。

── 椛嶋さんもアニメはお好きなんですか?

 実はこれまでアニメを見る習慣はなかったんですが、担当になってからは、毎日時間があればアニメを見る生活に。ライブDVDを見たことがきっかけでハマったのが「うたの☆プリンスさまっ♪(うたプリ)」。ガチハマリしたのは「おそ松さん」ですね。パッケージも買ってますし、席には十四松のパーカーが置いてあります。

うたプリにドハマりした椛島さん

── 聞いておいてなんですが、予想以上にガチでびっくりしています。

 ものすごい勉強量ですよ。アニメ好きからすると、ただ知識を得ているだけじゃなく、ちゃんとハマっていらっしゃるのがすごいです。

── AbemaTVアニメチャンネルの視聴者はどんな方が多いんでしょう。

 明確に取得はしていませんが、アニメが好きな方が非常に多い一方、初めて作品を観る方もやはり多いですね。「初見」というコメントをよく見かけます。

 「なつかしアニメチャンネル」は20〜30代がなつかしいと思えるアニメを中心に編成していて、その年代の方々を中心に見て頂いています。大人になって一回アニメを離れてしまったけど、子供のころ見ていたアニメが放送されていたので久しぶりに見た、という声も多いです。

 もともとAbemaTV全体の方針として「マスメディアになる」ところを目指しています。このため、アニメ好きの方に限らず、広くリーチしたいというところがあって。

※ニチアサ:テレビ朝日がアニメ・特撮番組を放映している日曜日の朝帯を示す愛称。ニチアサキッズタイムとも

番組を選ぶ基準は「実際に見て面白いと思えるかどうか」

── AbemaTV開局当初、アニメは4チャンネルでした。アニメで複数チャンネルを持とうと考えたのはなぜですか?

 AbemaTVは開局当初24チャンネルでしたが、AbemaTVとして会社化した当初は「100チャンネルくらい作ろう!」という話もあり、アニメはいくつ作れるかなと、ジャンルや、制作年代別など様々な切り口を考えました。結果的に、アニメを見る習慣がない一般層からコア層を対象とした切り口として、4チャンネルに決めました。

 アニメってジャンルとしては1つにくくられがちですが、中身は様々ですよね。最新作を見ても、1クール50本程度が放映されている中で、ジャンルは細分化されています。視聴者の方々に「このチャンネルは面白い、自分向けだ」と思っていただくためには、やっぱり複数チャンネルが必要だと。

2人だけで4チャンネル(現在は5チャンネル)の編成を担当している

── お2人で4チャンネルの編成は大変じゃありませんか。

 大変なところはありますが、作品数が多いぶんやりがいもありますよ。

── ニュースなどはテレビ朝日の協力を得ています。アニメもテレビ朝日系列でコンテンツを獲得していったんですか?

 いえ、アニメの場合、放送局のくくりとは無関係に様々なコンテンツホルダーさまと独自にやりとりさせていただいています。気づけばもう数十社と……。

 新しいところは代表番号から電話したりして、やりとりをしていました。

── サイバーエージェント系列とはいえ、AbemaTVさんは新興企業です。契約交渉では先方に怪しまれたりしませんでしたか。

 「無料で見られるサイトは他にもあるのに最後発で大丈夫?」という声が多かったです。AbemaTVの編成に基づいてアニメ作品を無料で見せるという仕組み自体が、これまでにない取り組みだったので……「しっかり収益を還元できる仕組みができるの?」という点をご納得いただくのが難しかったですね。最初の作品をご提供いただけたのは、わたしたちのチャレンジに共感いただけたところ。今でも感謝しています。

── 配信する作品はどうやって選ばれたんでしょう。

 まずは世間一般的にどの作品が人気なのかを定量的に調べました。次に、実際に見てみて面白いと思えるかどうか、一挙見したくなるかどうかの観点も大切にしています。面白い作品は続きが見たくなり、週末は必然的に一挙放送で見たくなりますよね。

 私はもともとロボットアニメ大好きだったんですが、さすがに自分の好きなジャンルだけを並べたら偏ってしまうので、一般的には何がうけるか、AbemaTVなら何がうけるか、を考えて編成しています。自分が好きなものを“ちょっと”入れつつ……。

 “ちょっと”ね! “ちょっと”!

自分の趣味も“ちょっと”入れつつ編成中

── コンテンツホルダーさんとはどういう契約をされているんでしょう。

 基本的にはいわゆる配信権利料の形で契約をしています。ビジネスモデルとしてはAbemaTV全体と同じ広告モデルです。ただAbemaTVには無料のストリーミングサービスと有料のオンデマンドサービスが一緒になっている形なので、契約形態を理解いただくのに多少時間がかかることはありますね。

※続きはASCII倶楽部または週刊アスキー電子版1089号でお読みください。

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