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ソシャゲ課金マンガプロジェクトの裏側を探る 第2回

ソシャゲ課金マンガプロジェクトの裏側を探る(中編)

漫画家がクラウドファンディングを始めてからわかったこと

2016年04月30日 17時00分更新

文● 佐藤ポン イラスト●村正みかど 編集●南田ゴウ 

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 漫画家歴20年のはまむらとしきり氏と村正みかど氏によるクラウドファンディング新作マンガプロジェクト。クラウドファンディングサイト「FUNDIY(ファンディー)」で資金調達中の作品は「スマホゲームの大地」。その名のとおり“ソシャゲ業界”の裏側を描いた作品(になる予定)だ。

 第1回ではマンガを発表するさまざまな媒体のメリットとデメリットを解説したが、今回は「クラウドファンディング」でマンガを発表することで初めてわかった事柄について迫っていく。

クラウドファンディングのメリットとデメリットとは

――多くの媒体でマンガを発表できる時代ですが、「クラウドファンディング」のメリットは

 はまむら:まだ始めたばかりなので、いま僕が思っていること……という条件でお話いたします。実際に無事出版されるまでに、考え方が変わるかもしれませんから。

 クラウドファンディングのメリットは「読者が確約されていること」です。先にお金を受け取れるので、制作に必要な時間を確保できます。雑誌などの連載の場合は、企画を準備してそれを担当編集に見せて、OKが出たら編集会議に通してもらいます。そこまでやって、ようやくマンガを描き始められます。

――雑誌は準備期間がとても長いのですね

 はまむら:その準備も大事な仕事なんですが、最後の編集会議に通らなかったら、それまでにかけた時間はすべて無駄になってしまうんです。これがつらい。

 自分たちが「おもしろい」と思って描いたマンガが否定されるだけでなく、掲載されないのでお金ももらえない。時給ゼロ円どころか、マイナスですよ。でも、それは商業誌だから当然です。自分がどう思っていても「売れない」と判断されてしまったら、企画会議を通らないのは当たり前。第1回で語った雑誌媒体のメリット、デメリットでも言及しましたが、それが雑誌で仕事をするおもしろいポイントでもあります。

――なるほど。ではクラウドファンディングは

 はまむら:その点、クラウドファンディングは支援者がある程度集まってくれて、目標金額に達したら描き始められます。さらに支援額をサポーターのみなさんが自由に決められるので、自分たちに対する期待度がわかります。

――プレッシャーを感じますか

 はまむら:「感じない」と言ったらウソになりますね。僕と村正はコンビを組んで25年になりますが、ありがたいことにずっと応援してくださるファンの方がいます。そういった方々にサポートされるのはうれしいし、本編以外にもイラストや追加マンガなどでお返しできるのも、いい機会だと思っています。

――支援者は額面に応じて、いろいろなコースを選べます

 はまむら:はい。購入していただいたコースによって、色紙や特典マンガなどが付いてきます。

はまむら氏:「こういう人はクラウドファンディングに向いてない」(週刊ビッグコミックスピリッツ刊「エロゲの太陽」2巻より)

――「作中に登場できる権利」コースがおもしろいですね

 はまむら:FUNDIYのなかで「登場権」はメジャーなアイデアらしく、担当さんに紹介してもらったのです。支援者の方々にマンガに出てもらうコースは5万円という高額設定だったのですが、予想に反してスグに売り切れてしまいました。

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