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眼の再生治療に寄与する新開発

阪大研究チーム、iPS細胞から眼全体を発生させることに成功

2016年03月11日 15時50分更新

文● 貝塚/ASCII.jp

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 大阪大学 大学院医学系研究科 脳神経感覚器外科学(眼科学)の西田幸二教授、林竜平寄附講座准教授らの研究グループと日本医療研究開発機構、科学技術振興機構は3月10日、ヒトiPS細胞に対して、細胞自律的な分化をうながし、眼全体の発生を再現させる2次元培養系を開発したと発表した。

 網膜や網膜色素上皮のみを誘導する技術はこれまでにも報告されていたが、角膜や水晶体などと網膜や網膜色素上皮などの両方を同時に誘導できる技術は本成果が世界初だという。

 失明につながるような角膜上皮疾患に対しては、ドナー角膜を用いた角膜移植術が一般的。しかし、拒絶反応や、ドナー不足の問題もあった。今回発表された培養系では、ヒトiPS細胞から同心円状の4つの帯状構造からなる2次元組織体(self-formed ectodermal autonomous multi-zone、以下SEAM)を誘導でき、発生期の眼を構成する主要な細胞群(角膜上皮、網膜、水晶体上皮など)が特定の部位に出現する。

 帯状構造の中から角膜上皮前駆細胞を単離し、機能的な角膜上皮組織を作製することにも成功し、動物モデルへの移植により、ヒトiPS細胞由来の角膜上皮組織の治療効果を立証できたとしている。またSEAMは、不明だったヒト眼球の発生の仕組みを詳細に解析することも可能にするという。

 同研究チームは「本研究成果は、iPS細胞を用いた角膜上皮再生治療法に大きく貢献すると期待される。角膜のみならず、眼のさまざまな部位の再生医療の開発に寄与する可能性を秘めている」とコメント。本研究成果は、英Nature誌の電子版に2016年3月9日18時版に掲載される予定だ。

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