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オリジナルハードウェアが集まったGUGEN 2015

透過ディスプレイがかっこいい ダッシュボードに置ける運転支援デバイス

2015年12月21日 11時00分更新

文● 北島幹雄/大江戸スタートアップ

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クルマのダッシュボード上に置ける運転支援デバイスが登場。(写真は会場展示のデモ)

 12月19日に秋葉原で日本最大級のオリジナルハードウェアコンテスト「GUGEN 2015」が開催された。課題解決を主眼としたものづくり活動を支援するピーバンドットコムによるイベントだ。

 ものづくりの祭典「Maker Fare Tokyo」が製品化前の技術の卵の展示会ならば、こちらは技術に加えてよりビジネスや課題解決に近いものが集まっている。100作品を超える応募のなかから展示会で気になったハードウェアをピックアップしてお届けしよう。

気軽に車内透過ディスプレイを実現するPyrenee Drive Screen

画像はプロトタイプ以前のイメージ画像。実物はもっとコンパクトになっている。

 ハードウェアスタートアップPyrenee (ピレネー)の三野龍太代表が発表したのは、ダッシュボードに置いて使用するクルマの運転支援デバイス 「PyreneeDriveScreen」。運転手の目の前に設置した透過ディスプレイに地図アプリのナビ内容や速度、車体関連の情報がリアルタイムで表示される。運転の邪魔にならず視認しやすい車載インターフェースだ。

 特筆すべき機能は、カメラやセンサーによる走行状況のモニタリングだ。ステレオハイビジョンカメラ2台で走行状態を立体的に処理することで、前方の歩行者や車などを立体認識して事前に危険をドライバーに知らせてくれる。

事故の危険が迫った場合にいち早くドライバーにディスプレイ表示と音で危険を知らせ、事故回避を促す。

 三野代表によれば、一般的な交通事故の7割はドライバーの不注意によるもの。「人間より平均で1秒機械のほうが早く危機を察知できる。安全装置としては自動ブレーキなどもあるが、それだけでは足りない。ブレーキ以上にハンドル操作が重要。通常の運転でも役立つはず」(三野代表)

 操作は、ハンドルに巻き付けるリモコンからで、スマホの画面も投影可能だ。透過ディスプレイの視認性は晴れた日の昼間で見えるレベルだが、炎天下ではまだ難しいらしい。

Pyrenee (ピレネー)の三野龍太代表。中央にあるのがPyrenee Drive Screenのプロトタイプ。

 デバイスのプロトタイプは会場初お披露目。実際の販売については、39900円で2016年に発売予定とのことだ。

 「自分がほしかったので」(三野代表)というMaker的な発想が製品の源流だが、気になる実際に車載しての使用感については、運転手の目の前にナビゲーション画面があるのは大変使いやすいらしい。

 将来的には、カメラで読み取った車体の挙動から、事故に関係するデータの解析をできるような仕組みも検討しているという。授賞式では、優秀賞とMicrosoft賞を獲得していた。

リアルなフィードバックが気持ちいい参式電子弓

GUGEN 2015 GUGEN 2015
ずっしり重くて、弦を弾く緊張感が心地いい。仮想の矢が飛んで、投影空間上の物体に当たる仕組み。

 神奈川工科大学の安本匡佑助教らによる弓形デバイスも会場での注目を集め、グッドアイデア賞を獲得した。「参式電子弓」は、本物のアーチェリーに各種センサー、マイコン、小型PC、モバイルレーザープロジェクター、バッテリーなどを搭載したARゲーム。

 本物の弓を扱うように弦を引いて360度全方向に対して仮想的な矢を撃つことが可能だが、実際使ってみると、弾いた弦の音、本体の重さなどの質感も相まって、仮想ながらも想像以上のリアルな没入感が味わえる。

 安本氏によれば同作品のテーマは身体的没入感。スティックPCなどの各種内臓パーツなどを含めて、実際のアーチェリーと近い重量に仕上がっているなど、射撃時のリアルな体感が重視されている。ハードウェア以外の部分は手作りで、グリップなどの削り出しも行ってできた自作。「フォースフィードバック(ゲームなどでデバイス入力に反応した振動などの機能)だけではない実際の重さ・温度・質感を表現しており、そこに面白さがある。HMD以上の身体感覚が味わえる」(安本氏)

神奈川工科大学の安本匡佑助教

 開発のきっかけは、安本氏自身がVRでのヘッドマウントディスプレイ(HMD)が体質的に受け付けなかったことと、同様のデバイスが”奥行き”感覚でのリアリティに欠けているのではないか、といった問いかけから。

 実際のゲームは真っ暗な壁面のある部屋での使用を想定しており、弓を向けた方向に先端から投影されたゲーム映像が現れる。仮想空間に向けて弦を引き矢を打ち込むARゲームが楽しめる。ゲームとしては、ARスポーツ、トレーニング、アミューズメント施設などので利用を見込んでいる。

 製作にかかった原価は20万円。なお、センサーには10万円相当の軍事用のハイレベルなものを使っており、完全にオーバースペックとのこと。1万円程度のモーションキャプチャーのものにすれば、大量生産で10万円以下にできるという。今後の展望では、移動の検知、複数人での使用への対応、ホロレンズへの対応、銃形式のデバイス対応などを予定している。

リアルとバーチャルをまたいで演奏できるドラムスティック

 授賞式で大賞を獲得したのは、アコースティックドラムとバーチャルドラムを組み合わせて演奏できるドラムスティック「Airstic Drum」。

 実際のアコースティックドラムを叩いたのか、バーチャルドラムを叩いたのかをストロークから自動的に認識を行う機能を持っており、それぞれのドラムを同時に組み合わせて演奏が可能。

 ドラムスティックに装着したデバイスから加速度を読み取り、ジャイロセンサーで動作解析を行い、Bluetoothでアプリと通信。ドラムスティックを完全に振り下ろす前に動作の認識を行うため、バーチャルドラムの電子音が出力するまでの遅延を防ぐように設計しているという。

薄型テレビの不満な音を改善するサイレントウーファ

 「最新薄型TVは4K映像など凄い進歩の中で音だけは取り残されている。いや、昔に比べむしろ悪くなっている。音は5.1chなど追加すればよいと思われがちだが、特にサブウーファなどの迫力ある音はマンション、アパートなどで気軽に出せる住環境ではない」

 元家電メーカのオーデーオ技術者が作ったのが、「薄型TVの音を良くする装置、サイレントウーファ」だ。後頭部に1枚の板を置くだけのシンプルなアイデアだが、劇的に体感できる音が良くなるというもの。

 せっかくの大型テレビを買っても、日本の住宅環境では広いスペースでの音響環境を整えるのはなかなか難しい。また、家族がいる住宅事情ではスピーカでの音量にも気を遣う人多い。音声信号を調整してあくまで頭の周囲だけ音が聞こえる仕組みなので、家庭内で気兼ねなく使用できる。また消費電力も少ないので電池で十分に対応できるという。

 商品化は未定。「一般の人で、薄型テレビの音響に不満に思っている人は多い。商品化の声があればしたい」とのことだ。

即売会向けレジアプリ

 即売会やフリマの会計を簡単にする、スマホと連携したレジシステムが「レジプラ」。従来、スマホだけの会計アプリはあったが、ボタンが押しづらいといった使いづらく、その点をリアルなボタンんで解消した”即席レジ”だ。

 事前に商品をアプリに登録したら、あとは専用ハードで売上を入力するだけ。商品登録の物理ボタンは3つだが、フリック操作などで商品点数は増やすことが可能だ。

 超ニッチな商品として、即売会などで販売予定で、将来的にはクラウドファンディングも検討しているという。

■関連サイト
GUGEN 2015(応募作品)

お詫びと訂正:初出時、Pyrenee Drive Screenについてグッドアイデア賞を獲得と表記しておりましたが、正しくは優秀賞とMicrosoft賞の誤りでした。修正してお詫びいたします。(2015年12月22日)

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