今月は、Appleのイベントに関連した記事をお届けしていますが、いよいよ9月25日にiPhone 6s/iPhone 6s Plusが発売されます。今回先行して新しい端末をちょっと体験しました。
本連載では詳細なレビューではなく、iPhone 6sシリーズがもたらす2つの新しい体験にフォーカスをあてます。2つの新しい体験とは「3D Touchによる新しいUIの導入」「Live Photos」のこと。いずれも、iPhone 6sシリーズで初めて採用された機能です。
3D Touchは、経験がものをいうインターフェースの導入
Appleが何か新しいUIを導入する際、そのネーミングのわかりやすさは特筆すべきことでしょう。
圧力を感知し、TapiTic Engineでコツンとフィードバックを与えるタッチパネルについて、これまでは「Force Touch」という言葉を使ってきました。しかしiPhoneに採用されるにあたり、仕組みは同じながら3D Touchというブランド名が与えられました。
立体的なタッチ操作ができるようになる、というのはわかりやすいですね。
とはいえ、当初は、この3D Touchで利用する機能は限られています。「ホーム画面のアプリアイコンを押し込むと現れるクイックアクセスメニュー」「リンクやメールなどを画面切り替えせずに閲覧するピーク」「さらに押し込んで開くポップ」が基本操作です。また、画面の左端を押し込みながら右にスワイプすると、マルチタスク画面が現れ、ホームボタンを二度押しする必要がありません。
基本的にはこれだけ覚えておけばOKで、すぐに慣れるでしょう。むしろ、積極的にいろいろなボタンやリンクを押し込むようになり、非対応のアプリでは何も起きないことが残念に思えてきます。もちろん、アプリ開発者が今後のアップデートで3D Touchをサポートすることにより、今後利用機会は増えるでしょう。
逆に、もしiPhone 6sシリーズを持っていても、3D Touchを使わずにこれまでの操作は可能です。使うことを強いているわけではない点も「慣れが最大の使いやすさ」であることを理解しているな、という印象を受けました。
3D Touchの活用は今後、iPhoneではこれまでBluetoothスタイラスで実現してきた筆圧機能を生かしたスケッチなどを、指1本でできようになることも考えられます。あるいは、ゲームの奥行きを持たせた立体的なグラフィックスと組み合わせて、キャラクターを動かすような遊び方も楽しめそうです。
もっとも後者の場合、iPhoneでしか動作しませんから、Android抜きでも「絶対にヒットさせる」という賭けみたいなものですが。
Live Photosは、結果的に静止画の正確な撮影につながった
1200万画素の新しいセンサーとA9プロセッサを組み合わせた、新しいカメラの楽しみ方の提案も用意されています。
2つある提案のうちの1つは4Kビデオ撮影。こちらはAndroid陣営がすでに実現してきた機能で、ソニーからは4Kディスプレーを備えたスマートフォンも登場します。とはいえ、4Kテレビやディスプレイの普及はさほど進んでいるように思えず、当のAppleも、テレビに接続するApple TVの4K対応を見送りました。
つまり「まだ4Kの時代ではない」というのがAppleの米国市場に対する見解でしょう。
もう1つの提案はぐっと身近です。Live Photosは、1枚の静止画に3秒の動画と音声が付属する、ちょっと動く写真。イメージは、ハリーポッターシリーズに出てくる、魔法で写真部分が動く新聞のような感覚です。
動画部分の画質は低く抑えられており、フレームレートも低め。それでも、シャッターの前後1.5秒ずつが切り取られて、写真を撮ったときの状況やシャッターの瞬間の直前直後に訪れた、「本当のベストな瞬間」が記録される様は、とても楽しく印象深いものでした。
ただ、筆者はポケットからiPhoneを取り出しながらカメラを起動してすぐに撮影する、という使い方も多かったため、Live PhotosがONになっている状態で速写をすると、シャッターの瞬間以外は地面や空が映ってしまうことも少なくありませんでした。
また、Live Photosを撮るつもりであっても、3秒間は思いのほか長く、カメラをビシッと構えていられず、写真はきれいでもビデオ部分が大きくぶれるLive Photosを量産していました。
ファイルサイズも2倍になるため、常にLive Photosをオンにしなくても良いと思いますが、ゆっくり構えて脇をしめて、息を3秒止めてシャッターを押す、というぶれない写真の基本に立ち戻っての撮影は、結果的に良い習慣になったのではないかと思います。
(次ページでは、「ハード進化からソフト進化を経て、デザイン進化へ」)
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