次期GPU「GeForce GTX 1080」の
プロセスは16nmではなく14nm
さて、このGeForce GTX 950でMaxwell 2.0世代は(今度こそ)終了であり、次はPascalベースのコアとなることが予定されているが、こちらが二転三転している。
まずは製品名。図にはGeForce GTX 1080と記載しているが、そもそもこのGTX 1000シリーズという名称を変更するという話が出てきている。もっともまだどんな名前になるのか、具体名は決まっていないらしいのだが、なにしろ製品投入が2016年になるのはほぼ間違いないので、まだ3ヵ月以上時間があるから名前の変更には十分ゆとりがある。
次がコード名。以前、GM200の後継がGP100、GM204の後継がGP104と記していたが、これはそれぞれPK100、PK104になるようだ。おそらくこれに続き、より小さなPK106なども登場すると思うが、まずはPK100/PK104の製造が先行ということで間違いないらしい。
3つ目がプロセスである。以前はTSMCの16FF+を利用する、という予定だと説明したが、どうもこれが怪しく、最近ではSamsung/Globalfoundriesの14LPEを利用するという話になっている。
理由は簡単で、TSMCの16FF/16FF+がすでにオーバーキャパシティーで、十分な生産数量が確保されない見込みだからである。
元々TSMC(とSamsung/GlobalFoundries)の20nmプロセスの出来があまり良くなかったこともあり、多くのユーザーは20nmをスキップして16nmに直接移行を考えていた。
これに加えて、16nmの最初のプロセスである16FFが予定より1~2四半期ほど提供が遅れたこともあり、現時点でもまだ16FFを使った製品はほとんど市場に出ていない状況である。こうしたこともあり、ほとんどの設計は16FF+に集中しつつある。
今年4月にTSMCが投資家向けに出した“TSMC 2014 Business Overview"(PDF)によれば、すでに60社以上が2015年末までに16FF+用のテープアウトを完了するとしている。
実際の製品数は100以上が見込まれており、ここにはスマートフォン向けのSoCのみならずARMベースのサーバーなども含まれているため、16FF+の立ち上がりにあたっては壮絶な奪い合いが予想される。
こうなってくると、例えば1社のある特定の製品でウェハー全部を埋めるというのは許されないぜいたくであり、例えばウェハーを4分割して、4種類の製品を前工程では混載の形で製造、後工程でこれを切り分けてそれぞれの製品別にまとめるといったことが日常茶飯事である。おまけに、1回のロットでそれほど大量のウェハーを製造できない。
というのは、100以上の製品があると、例えば4製品混載でも25パターンのウェハーがあるわけで、それなりにどのウェハーも製造しないと「いつまで待っても製品が出てこない」という偏りが生じてしまう。
したがって、立ち上げ時期にはどうしても効率が悪化するのを覚悟の上で、頻繁にマスクを切り替えて多種類の製品を製造する必要がある。
もちろんこれは「いつまで待っても製品が出てこない」よりはずっとマシ(製品が出てこないと、そもそも検証や顧客へのサンプル出荷すらできない)ではあるが、GPUのようにいきなり大量に製造・出荷したい場合には非常に不利である。
理由は違うがGeForce GTX 480が当初なかなか出てこなかったのは、歩留まりの低さもさることながら、40nmの立ち上げの時期で十分なウェハー製造能力がなかったのも一因である。
→次のページヘ続く (次期GPUのは4月のGTC 2016で発表か?)
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