ドイツ・スイスの科学者チームは7月22日、100年来の謎とされていた「ヘアーアイス(Hair Ice)」の謎を解明したと発表した。
ヘアーアイスはドイツの森などでまれに発見される糸状の氷の集合体で、氷でできた糸はわずか0.01mmという絹糸のような細さを持つ。湿った冬の日に、氷点下の冬場に倒木などに上に生えているのがごくまれに観察される。
古くから知られた現象で、大陸移動説のアルフレート・ヴェーゲナーが菌糸との類似生から真菌が関係していると提唱していたが、これまでこの現象がどうして起きるのか解明されていなかった。
スイス・ベルン大学の科学者はドイツの生物学者と解明を試み、殺菌した倒木では起きないことなどを確認、採取した真菌のなかからキクラゲ科のExidiopsis effusaが起こしていることを確認した。ヘアーアイスが起きるメカニズムは、真菌表面にある水が氷と木の間に挟まれた状態となり、分子間力によって凍りながら押し出されるように生じることを確認した。さらに真菌の代謝物である有機物が溶け込み、大きな氷に成長しないという現象も働いているという。
発表では、ヴェーゲナーの仮説から100年も経ってから解明されたのは、緯度45~55度という限られた地域でしか起きず、冬場は霜や降雪で発見しにくく、昼間には溶けてしまうといった理由を挙げるとととに、今度早朝に森に散歩に行くときは足元をよく観察してみようとしている。
この研究論文は生物論文オープンアクセスジャーナルBiogeosciencesに発表された。