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WWDC 2015 - アップル開発者イベントでなにが出る!? 第11回

WWDC 2015、有識者はこう見る

「より近づいた『OS X』と『iOS』の関係に注目」――西田宗千佳氏

2015年06月15日 17時00分更新

文● 西田宗千佳 編集●ナカムラ/ASCII.jp

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 2015年6月9日にAppleの開発者向けイベント「WWDC 2015」が開催された。今回の発表に関して、フリージャーナリストの西田宗千佳さんからのコメントが届いたのでご紹介する。

技術的な差がどんどん小さくなるOS XとiOS

 今回のWWDCは地味だと言われる。会場で見ていた私も「そうだな」と思う。Apple Musicの発表も興味深かったが、時間などを考えると、WWDCの基調講演ではなく、別途近い時期に発表会をやっても良かったのでは、と思う。

 だからといって、今回の基調講演が「はずれ」だったか、というと、そうではないな、というのが、その後に取材した内容を加味した印象だ。

 キーワードは「OS XとiOSの一緒にならない関係」だ。

 今回、iOSやOS X向けとして発表された技術には、似た特質を持つものが多かった。GPUを扱う技術である「Metal」や、画面を2分割する「Sprit View」への取り組みがわかりやすい例だろう。OS X El CapitanのSprit Viewと、iOS9+iPad Air2で実現されるSprit Viewは非常に似たUIになっている。

 それ以上に大きいのが「Proactive Assistant」だ。

 基調講演では「iOSをより快適にする技術」として発表されたものだが、実はOS X El Capitanにも搭載されている。アップルとしては、自社が持つOSに共通の技術として採用した……というのが実情であるようだ。

 アップルはマイクロソフトと違い、「マック(PC)とiOS機器は違うUI・UXをもった機器である」という姿勢を崩さない。それはそれでよく分かる。一方で、ハードウエアパフォーマンスの違いが小さくなった結果、コアな技術では差が小さくなってきてもいる。開発効率を考えると、両者は近づくのが必然だ。

 このままアップルは、技術的には近くてもUI的には違う、という形で2つのOSをメンテナンスするのだろうか。それとも、将来的にひとつにするのだろうか。現状は明確に分かれている2者だが、コア技術面では、どんどん近くなっていくのは間違いない。「表側の皮だけが違う存在」に近くなっていくのでは……という思いを強くした。


西田宗千佳(にしだ むねちか)

 1971年福井県生まれ。フリージャーナリスト。 得意ジャンルは、パソコン・デジタルAV・家電、そしてネットワーク関連など「電気かデータが流れるもの全般」。主に取材記事と個人向け解説記事を担当。朝日新聞、読売新聞、アエラ、週刊東洋経済、月刊宝島、PCfan、YOMIURI PC、AVWatch、マイコミジャーナルなどに寄稿するほか、テレビ番組・雑誌などの監修も手がける。近著に、「顧客を売り場へ直送する」「漂流するソニーのDNAプレイステーションで世界と戦った男たち」(講談社)、「電子書籍革命の真実未来の本 本のミライ」(エンターブレイン)、「ソニーとアップル」(朝日新聞出版)、「スマートテレビ」(KADOKAWA)などがある。


(WWDC 2015についての情報まとめはこちら)

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