理化学研究所、東大、物質・材料研究機構などの研究グループは12月30日、静電反発する素材を閉じ込めたゲル状物質を開発。耐荷重性を持ちつつ横には容易に動くため、防振材料などに利用できる可能性がある。
理研と物質・材料研究機構(NIMS)は水中に分散したイオン性の酸化チタンナノシートに磁場を加えると、すべてのナノシートが磁場に対して垂直な方向に配列、ナノシート同士に大きな静電反発力が現れることを発見した。この水分散物をゲル化すると、静電反発力で構成されたヒドロゲルとなる。
できあがったヒドロゲルは、垂直方向はナノシート同士の反発力のため高い耐荷重性を持つが、水平方向には少ない抵抗で動くという通常の物質にはない機械的特性を持つ。水平方向の動きを吸収するための防振材料などに適しているほか、荷重に耐えつつ低摩擦で動くことが求められる関節軟骨代替素材など、さまざまな応用が考えられるという。
自然界のなかでも動物の関節軟骨などは素材間の反発力によって強度と低摩擦を両立させている。これまで新材料の研究開発では構造要素同士が引き合う力によって強度を高める工夫を続けてきたが、新たに反発力を用いた材料を開発・有用性を確認できたことで、今後の構造材料設計に大きな影響を与えると期待できるという。