慶應義塾大学は9月1日、メガネなしに3D映像を空中に投影できるディスプレー「Hapto MIRAGE(ハプト ミラージュ)」を開発した。実際に存在する立体物と重ねあわせることもでき、触れる3D映像などへの可能性を持つ。
裸眼立体映像のしくみは、モーションキャプチャー装置によってユーザー位置(視点の位置)を計測、視点位置に合わせた左右視差画像を液晶に表示する。液晶の前にフレネルレンズが配置されており、液晶の手前に結像する。フレネルレンズを通した左右の画像が左右どちらの目にも入ってしまうため、液晶とフレネルレンズの間に透明液晶を配置し、左右の目それぞれに映像の光が向かうように調整する。ユーザー視点に合わせた投影を行うので広角150度という広い範囲で見ることができるのが大きな特長。さらに開発した装置はこのディスプレーを3台配置し、最大3ユーザーが同時に立体映像を共有できる。
3D映像として見える位置よりも手前側にパネルがないため、映像を手に取るような使い道が想定される。グローブ系デバイスなどの3D位置検出デバイスと組み合わせて、手やペン、実際に置かれた立体物に合わせてインタラクティブに映像が変化する“触れるディスプレー”として、デジタルサイネージや博物館・科学館の展示、業務用ゲーム機器などのエンターテイメント用途などへの利用を見込んでいる。