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Q&A形式で学ぶOpenFlow/SDN ― 第1回

ネットワークをソフトウェアが定義する理由

なぜSDNは生まれたのか?ネットワーク仮想化との関係は?

2013年05月30日 15時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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2012年に引き続き、現在も旬なキーワードとして高い注目を集めているSDN(Software-Defined Networking)。SND/OpenFlowの基礎技術や最新動向をQ&A形式で解説していく本特集の第1弾では、そもそもSDNとはなんなのか? SDNが生まれた背景などを解説していきたい。

そもそもSDNってなに?

 「SDN(Software-Defined Networking)」とは、文字通りソフトウェアにより、柔軟に定義可能なネットワークやそれを実現する技術全般を指す。代表的な技術である「OpenFlow」の台頭により、2011年頃から注目を集めており、おもに設定や運用管理における既存のネットワークの課題を解決し、クラウドや仮想化などに対応するネットワーク仮想化を実現するものとして期待されている。

 SDNではケーブル配線やネットワーク機器ごとの設定なしに、アプリケーションに最適なネットワークをソフトウェア側から構成できるほか、単一の物理ネットワークに複数の論理ネットワークを構築することができる。そして、こうしたソフトウェアによる制御を実現するためのプロトコルやAPIがオープン化されているのも大きな特徴。現在、大手ベンダーやベンチャー含め、さまざまなベンダーがSDNへの取り組みを進めている。

SDNが登場した背景を教えて!

 従来のネットワークは、あくまでサーバーやストレージ、アプライアンスなどの物理デバイスを相互接続するのが目的で、しかもサーバーの台数やアプリケーション要件に合わせて構成が固定化されていた。そのため、既存のネットワークに新しいサービスを追加する場合は、スイッチやルーター、ファイアウォール、ロードバランサーなど、さまざまなネットワーク機器に対して個別に最適な設定を施さなければならず、柔軟性を欠いていた。

 しかし、サーバーの仮想化が進み、共用のインフラで運用されるようになると、そうも言ってられなくなる。仮想サーバーはポリシーに従って生成や消滅するほか、他のホストサーバーやデータセンターに移動することすらある。また、サーバーを集約したデータセンターのネットワークは、要件の異なる複数の顧客が利用するマルチテナントの環境だ。VLANやVPNをはじめとした従来のネットワーク仮想化技術で、仮想マシンのネットワーク設定をいちいち変更するのはきわめて非効率的だ。

仮想サーバーを前提としたネットワーク設定の変更は柔軟性を欠く(IPAのサイトより抜粋)

 こうした既存のネットワーク運用の不満を解消すべく登場したのが、SDNである。SDNでは、顧客の要件や仮想マシンの挙動にあわせてネットワーク構成をダイナミックに変更することができる。また、サーバーやストレージ、アプライアンスの仮想化に対応した、柔軟性の高いネットワーク仮想化を実現する。

今まではネットワークをソフトウェア定義してこなかった?

 従来からネットワークを扱っていたユーザーであれば、「今までもネットワークの定義はソフトウェアで行なっていたのでは?」という疑問を持たれる方も多いはずだ。また、ネットワーク機器に対して個別にVLAN設定を行なわなければならないという課題に関しても、市販のネットワーク管理ツールを用いれば容易に行なえるのは?と考えるだろう。

 確かに最近のネットワーク管理ツールであれば、複数台のネットワーク機器の設定や管理も容易に行なえる。障害時のトポロジ変更や仮想マシンの移動に対応する高機能なツールもあり、マルチベンダーでさまざまなネットワーク機器を扱える製品も増えている。こうなると、表面的にはSDNのメリットは得られないように感じられる。

 こうした前提を踏まえたSDNのメリットは、やはり「柔軟性」と「プログラマブル」であるという点に集約されるだろう。SDNの特徴は、やはりネットワーク機器の動作を外部プログラムから定義できるという点に尽きる。APIを介して、ユーザーが必要なネットワーク構成を自由に決められる。サーバーと同じようにネットワークもダイナミックに調達可能なリソースとして扱える。さらに仮想マシンの運用管理と連携させることで、単なる省力化にとどまらず、自動化まで踏みこんだネットワーク運用が行なえる。こうした未来を描けるのが、さまざまなエンジニアを引きつけるSDNの最大の魅力といえるだろう。

(次ページ、SDNで実現されるネットワークの仮想化とは?)


 

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