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生き残るOSは2つだけと断言

RHEL6は「クラウド環境の最良のエンジン」

2011年01月24日 06時00分更新

文● 渡邉利和

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1月20日、レッドハットは米国から製品責任者を迎え、最新バージョンであるRHEL6の概要について改めて説明を行なった。

2010年はクラウド元年だった

 まず日本でのビジネスの状況について、日本法人代表取締役 社長の廣川 裕司氏から説明が行なわれた。

日本法人代表取締役 社長の廣川 裕司氏

 廣川氏は昨年2010年を「レッドハットにとってのクラウド元年であった」と位置づけた。事業組織としてクラウド事業部(Cloud Business Unit)を立ち上げる一方、成果として米国でのIBMや日本でのNTTやソフトバンクなど、名だたるバートナーが運営するパブリッククラウドサービスに同社のインフラソフトウェアが採用されるなどの成果が上がったことが背景にある。

 全世界的な経済環境悪化にも関わらず、レッドハットはワールドワイドで21%の成長を達成したとのこと。さらに、詳細は非公開ながら、日本の成長率はこの21%を越える値を達成しているという。全般的な経済成長率という点では、日本はきわめて深刻な不振のさなかにあるが、それと比較して日本のレッドハットが全世界での成長率を超える成長を達成していることの意味はきわめて大きいといえよう。

RHEL6への取り組み

米レッドハット プラットフォームビジネスユニットのバイスプレジデントを務めるジム・トットン氏

 Red Hatではクラウド環境を支えるための仮想化技術の成熟などにも積極的に取り組んでいるが、同社の製品ラインの中核であるRed Hat Enterprise Linux(RHEL)の最新バージョンであるRHEL6は、クラウド環境のためのプラットフォームとして位置づけられる同社のソフトウェアの中でもさらに中核のコンポーネントである。この概要について、米本社でRHELの開発を担当するプラットフォームビジネスユニットのバイスプレジデントを務めるジム・トットン氏が説明を行なった。

 同氏は、調査会社によるOSシェアの推移のデータを紹介し、UNIXやメインフレームOSのシェアが長期的に減少傾向にある一方、サーバーOS市場で伸びているのはWindowsとLinuxの2つだけだとした。さらにサードパーティのアプリケーションの売り上げなどのデータを組み合わせると、Linuxの成長はWindowsの上回っているともいう。

「生き残るOSは2つだけ」と題されたOSのシェア

 現在では、OSそのものよりも仮想化プラットフォームの方に市場の関心が移りつつあるように思われるが、RHEL6では仮想化プラットフォームとしての機能も大幅に強化している点がポイントとなる。トットン氏は、RHEL6のリリースからまだあまり時間が経っていないこともあって、具体的なベンチマーク結果などの公表は行なわなかったが、前バージョンであるRHEL5との相対比較結果を紹介し、「サポートするプロセッサーコア数は192から4096に」「メモリ量は1TBから64TBに」「最大ファイルシステムサイズは16TBから100TBに」など、あらゆる分野における大幅な機能向上をアピールした。

RHEL6以降のロードマップ

 昨年行なわれたRHEL6の製品発表の時点と比べても、あまり間が空いていないこともあって特に新情報等の紹介はなかったが、新たにRHELを担当することになったトットン氏の来日が、今回の説明会の最大のポイントだったといえるだろう。同氏の前職はマイクロソフトのジェネラルマネージャだったそうで、同氏自身が「WindowsからLinuxへ」というシフトを体現しているというジョークも飛び出していた。ワールドワイドの成長率を超える成果を挙げた日本市場は同社にとっても重要な存在であることは間違いなく、エンタープライズサーバーの分野でまだ強みを維持している国産サーバーベンダーとの協力関係という観点からも、同社の日本市場重視の傾向は当分維持されることになると思われる。

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