発熱で苦しんだ65nm世代
45nm世代のShanghaiは順調に
これに続いて2007年9月には、65nm SOIプロセスでクアッドコアの「Barcelona」「Budapest」が投入される。Barcelonaが8P/2P用で、Budapestが1P用のコード名だ。デスクトップでは「Phenom X4」の世代に相当する。
このシリーズが発熱で苦しんだという話は連載第6回でも触れたとおり。その背景にあるのは、性能競争が1クロック当たりの同時処理命令数から、同時処理データ量に移りつつあるという点だ。従来では、“どれだけ高速にプログラムを実行できるか”で性能が決まったのだが、SSE系のマルチメディア拡張命令を多用すると、命令の処理速度そのものよりも、結果としての大量のデータをどれだけスムーズに処理できるかという方向に性能の焦点が移り始めていた。この問題への対策として、1次(L1)キャッシュメモリーの帯域を大幅に強化したのがBarcelona/Budapestの大きな特徴だった。しかし、その副作用として消費電力が大幅に増えてしまったので、動作周波数がぜんぜん上がらなくなってしまった。
結果として、この世代は比較的短命であり、翌2008年11月に45nm SOIプロセスを利用した「Shanghai」(クアッドコアOpteronプロセッサー、関連記事)コアが投入されると、急速に製品が置き換えられた。AMDは65nm SOIはクアッドコアのみとし、デュアルコア製品を投入しなかったため、結果としてOpteronで65nm SOIはほとんど使われずに終わってしまうことになった。ちょっと不憫ではある。
ちなみにShanghaiは順調に性能を上げており、現時点では3.1GHz品が最高性能であるが、必要ならもう少し上のCPUも投入されると思われる。また消費電力の低さを生かし、低消費電力版は従来の55Wを下回る40Wの製品もラインナップされた。ちなみにBudapestは1P向けであるためSocket AM2を採用していたが、Shanghaiの1P用は「Socket AM3」になった。
シングルダイで初の6コアOpteron「Istanbul」
これに続き2009年6月に投入されたのが、6コアの「Istanbul」(関連記事)である。さすがにこのグレードで1Pはありえないと判断されたためか、ラインナップは8P/2Pのみとされている。現時点では消費電力が75Wの製品のみがラインナップされているが、将来は105Wで3GHz程度の動作周波数の製品や、55Wの製品などもラインナップされると思われる。
ところでこのShanghaiとIstanbulだが、内部構造は非常に似ている。図1に簡単にブロック構造をまとめたが、要するにShanghaiにCPUコアを足した「だけ」なのがIstanbulである。
ここでブロック図に、HyperTransportリンク(HT3)が4チャンネル装備されている点に注目してほしい。実はBarcelona時代から、「HyperTransportリンクは4本になる」という話が出ていた。正確にはShanghaiのみならず、BarcelonaにもHyperTransportリンクは4チャンネル分装備されていたのだ。
上掲の写真はAMDが公開しているBarcelonaのダイ写真だが、HyperTransportリンクは写真右のように、明らかに4チャンネル分ある。ただし、CPUのパッケージにHyperTransportリンクが3チャンネルのSocket Fを使っているため、1チャンネル分を無効化した形で製品はリリースされている(図2)。
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