ニコニコ生放送ユーザーも投票、満場一致で「これハイジで決まりだな」
「夢の中みたい。どうしよう、これで目が覚めて夢だったら」
そう涙まじりに語ったのはハイジさん。21歳の、現役大学4年生だ。7日にニコニコ動画で生中継された公開ボーカルオーディションで、Every Little Thing(ELT)の伊藤一朗氏とともに活動する「新メンバー」に決定した。
応募のきっかけは「就職活動をしつつも、やっぱり歌をあきらめられない自分がいる。隣の部屋の姉がいつもうるさいとメールをしてくるので、姉のいない隙をうかがって(応募用の曲を)歌った」という。夢の歌手への道に「内定」をもらった形だ。
今回のオーディションは、伊藤一朗氏の新作ソロミニアルバムに参加するボーカルを「ニコニコ動画で募集する」という趣旨でスタートしたもの。4月21日から動画での応募受付を開始し、応募総数は845作品にのぼった。
その中から4人が最終選考に残り、みごとボーカルの座を射止めたのがハイジさんだ。審査はスタジオで課題曲を歌うというスタンダードなものだが、その様子がつねにニコニコ動画で「放送」され、リアルタイムにコメントがついていくのがニコニコならではだ。
ハイジさんのユーザー人気は登場時から高く、「ハイジで決まりかな」「ハイジか3番目(の応募者)」と、コメントは他の候補者の審査時にもほぼハイジさん一色に。すべての審査を終えた伊藤氏、伊藤氏の所属事務所、そしてニコニコ動画のユーザーの投票は、満場一致でハイジさんを選ぶ結果となった。
伊藤氏はハイジさんに決めた理由について「ボーカルとしてのバランスの良さで選んだ」と話す。音域や声のトーンなど、トータルバランスが評価されての結果となったという。
また学校で「忍者部」に所属したり、ひそかに地下アイドルをやってみたりといったユニークなキャラクターも人気を呼んだ。ニコニコ動画で好きな動画はと尋ねられると、訛りを利かせたゲーム実況を得意とするキリン氏の動画や、初音ミクのオリジナル曲を挙げた。
伊藤氏は今回のオーディションを通じて「ふだん音楽をやっているのとは違う感覚で、クリエイターと知り合うことができた」と語り、ハイジさんには「まずはソロミニアルバムに手を貸してもらうところから始めてもらいたい」と今後への期待をうかがわせた。
なお今回の審査では「特別枠」として、最終選考には残らなかったSevenspirit氏、鋼兵氏の男性応募者2名もスタジオに登場。高音の多いELTの代表曲をなめらかに歌い上げる両名には「こっち合格でいいだろwww」「男性枠推奨」などのコメントが殺到した。
特に鋼兵氏は、スタジオから視聴中のユーザーに向けて「『HEY!』のコメントよろしく!」とあおる余裕を見せるなど(実際に画面はその後「HEY!」のコメントで覆い尽くされた)、圧倒的な存在感を見せつけていた。
もちろん審査結果には得心がいったものの、むしろ審査枠を飛び越えてこちらの男性ボーカルが採用されてしまうくらいの「規定外」ぶりがニコニコ動画らしいとも思ってしまうのは私だけだろうか。彼らの今後の活動にも期待したい。