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iPod付属や他社製のイヤホンと徹底比較!

カナル型の革命児「Apple In-Ear Headphones」を聴き比べる

2008年12月23日 12時00分更新

文● 高橋敦

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中低域も高域も、付属イヤホンより充実!

耳に差し込むユニット部分の拡大写真

Apple In-Ear Headphones with Remote and Mic

イヤーピースは大中小の3種類を用意。カナル型のヘッドホンは、このイヤーピースとユーザーの耳との相性で大きく音の聴こえ方が異なってくる。必ず自分の耳に合うサイズのものを選び、なるべく耳の奥まで押し込むようにしよう

 9400円という価格の本機は、iPodに付属するイヤホンからのステップアップとして求める人も多いだろう。中には、高級イヤホンに初めて挑戦するというユーザーもいるかもしれない。ということで、まずは付属のイヤホンからどれだけのクオリティーアップを実感できるか、聴き比べてみた。試聴アルバムには、ジャズボーカルのJacintha「Autumn Leaves」とジャズインストの上原ひろみ「Beyond Standard」を使っている。

 付属イヤホンも、決して悪くはない。スネアドラムの心地よく軽い抜け、シンバルの音の粒子の広がり方など、さらりと自然な描き方で好感が持てる。標準付属イヤホンに求められる「万人に聴きやすい音」というのを、十分なレベルで達成していると思う。

 しかし明らかに弱いのは中低域だ。ベースはかろうじて輪郭が聴き取れる程度で、実体的な重みを伴わない。ピアノの低音側も重厚さが足りないし、ゴリッという迫力もない。また中高域にかけての情報量、細かなニュアンスの再現度などは期待するべくもない。

 お次にApple In-Earを聴いてみよう。──圧倒的にいい

 付属イヤホンではほとんど聞こえなかったバスドラムの踏み込みもしっかり届いてくる。ウッドベースが低い音域で細かく動いても音を取りこぼさず、アンサンブルの底をしっかり支えてくれる。中低域の向上は明確だ。

 高域方向も充実しており、シンバルの音の粒子がよりきめ細かくなる。ボーカルの輪郭の艶、肉声感も高まり、音楽的な力が増す。付属イヤホンの音はBGM的で、よくも悪くも軽く聞き流せるのに対して、Apple In-Earの音はオーディオ的でぐっと聴き込む気にさせると感じた。


遮音性は良好 タッチノイズは慣れの問題?

 さてしかし付属イヤホンは一般的ないわゆる「普通のイヤホン」の形状だが、Apple In-Earいわゆる「カナル型」だ。音質以外の面でもいろいろと差異がある。そこも確認しておこう。

 まずは遮音性。これはもう、カナル型であるApple In-Earが圧倒的に有利だ。というか付属イヤホンは遮音性は皆無なので、比べものにならない。

 電車内で試してみたところ、「ゴォー」という重い走行音が、Apple In-Earを装着すると「コォー」というように軽く、そして柔らかくなった。不快感はかなり少なくなる。遮音性は良好だ。

 ただしカナル型にも弱点はあって、それは自分の足音やケーブルのタッチノイズ(服にこすれる音など)が耳の中に響いてしまうことだ。その点はApple In-Earでも同じで、普通のイヤホンから乗り換えると当初は気になるかもしれない。この辺、音質と遮音性とのトレードオフと考えてほしい。

 なおケーブルの長さが適当である点やプラグ部がコンパクトである点などは、付属イヤホンとまったく同等だ。iPodとの組み合わせで非常に取り回しやすい。このあたりはさすが純正である。

 それにしても付属イヤホンからの音質と遮音性の向上は大きい。1万円以下の出費でのこの向上が得られるのであれば、多くの人は満足できるだろう。

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