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コンテンツ権利者の許諾無しに使用できる――デジタル・コンテンツ法有識者フォーラムが特別法を提言

2008年03月20日 13時30分更新

文● アスキービジネス編集部

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民間研究団体「デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム」は3月17日に会見を開き、Web上でのデジタル・コンテンツの流通を促すための特別法「ネット法(仮称)」の骨子を発表した。


権利者の保護とデジタル・コンテンツの利用推進を両立する


 大学教授や経営者などの有志が集まり、Web上のコンテンツ流通について研究を行なう「デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム」が、デジタル・コンテンツのスムーズな流通を促す特別法「ネット法(仮称)」の創設を提言した。

 同フォーラムの代表を務める、政策研究大学院大学 学長 八田達夫氏は「世界各国でWeb上のコンテンツの法整備を進めており、このままでは我が国だけが取り残されかねない」と問題点を指摘する。そこで、ネット法を制定することにより、「我が国の優れたコンテンツがWeb上で円滑に流通することで、コンテンツ産業の保護・育成に繋がる」と述べる。

デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム 代表 八田達夫氏
デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム 代表 八田達夫氏

 今回発表された「ネット法」の骨子は下記の3点。

  • (1)「ネット権」を付与する
  • (2)収益の公正な配分の義務化
  • (3)フェア・ユースの規定化

 (1)は収益の公正な配分を行なう能力を有する事業者にのみ、テレビ番組や映画などをWeb上のデジタル・コンテンツとして流通する権利「ネット権」を付与する。(2)によって、コンテンツ利用者は権利者に対してデジタル・コンテンツの流通に伴う収益を分配する義務を負う。たとえば、映画であれば原作者や脚本家、作詞家といった権利者に公正に分配する。ただし、映画の権利そのものは製作会社が持ち、分配方法は当事者間で策定する。(3)はコンテンツの使用が「フェア・ユース(公正な使用)」と考えられるものは、権利者の許諾無しに使用を許可するというもの。

映画をデジタル・コンテンツとして流通させるケースにおける「ネット法」のイメージ図(画面クリックで拡大)
映画をデジタル・コンテンツとして流通させるケースにおける「ネット法」のイメージ図(画面クリックで拡大)

 ネット法により、一部の出演者など権利者の反対で2次利用できなかった映画やドラマなどもデジタル・コンテンツとしてWeb上で使用できるようになる。同フォーラムの事務局長 岩倉正和氏は「現行の法制度では権利処理作業の負担があまりにも大きく、デジタル・コンテンツとして2次利用するのが難しいコンテンツが多数存在する」と述べる。権利者の権利を適度に制限し、デジタル・コンテンツの流通が促進されれば、「世界市場を相手に日本の優良コンテンツで産業が発展し、ユーザーやクリエイター、ビジネス関係者にとってwin-winの関係に繋がる」と岩倉氏は述べる。

デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム 事務局長 岩倉正和氏
デジタル・コンテンツ法有識者フォーラム 事務局長 岩倉正和氏

 収益の分配法や特別法の実現に至るロードマップなど不透明な点はあるものの、早急な法整備が求められるデジタル・コンテンツの世界に同フォーラムの提言が一石を投じたと言える。

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