iPhone 4が7月に発売されて以来、iPod touchユーザーは非常に苦い思いをしてきた。iPhoneは、A4チップの搭載で高速化を、「Ratinaディスプレイ」で画面の高画素化を果たした。しかも、iPod touchにはなかったカメラも進化し、フロントカメラが付いたり、HDビデオの撮影に対応したりと、非常に差をつけられていたのだ。
しかし、その我慢も過去のこと。発売されたばかりの新iPod touchは奇跡の進化を遂げて、上記の要素がすべて搭載されてきたのだ。ざっとスペックをまとめると以下のような感じだ。
第4世代iPod touch/iPhone 4のスペック比較
第4世代iPod touch | iPhone 4 | |
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容量/価格 | 8GB/2万900円 32GB/2万7800円 64GB/3万6800円 |
16GB/4万6080円 32GB/5万7600円 |
ディスプレー | 3.5インチ/960×640ドット | |
バッテリー駆動時間 | 音楽再生:最大40時間 ビデオ再生:最大7時間 |
音楽再生:最大40時間 ビデオ再生:最大10時間 通話時間:最大7時間(3G) |
写真撮影 | バックカメラ:960×720ドット、フロントカメラ:640×480ドット | バックカメラ:2592×1936ドット/HDR撮影対応、フロントカメラ:640×480ドット |
ビデオ撮影 | バックカメラ:1280×720ドット/最大30fps、フロントカメラ:640×480ドット/最大30fps | |
LEDフラッシュ | × | ○ |
センサー | 3軸ジャイロスコープ、加速度センサー、環境光センサー | |
電話 | × | ○ |
無線 | IEEE 802.11b/g/n、Bluetooth 2.1+EDR、Nike + iPod | |
GPS | ×(無線LAN接続時におよその位置は取得可能) | ○ |
入出力 | ヘッドホンジャック、Dockコネクタ、マイク、スピーカー | |
本体サイズ | 幅58.9×奥行き7.2×高さ111.0mm | 幅58.6×奥行き9.3×高さ115.2mm |
重量 | 101g | 137g |
※iPhone 4の価格は、ソフトバンクモバイルにて一括支払い(「新スーパーボーナス一括購入」)した場合。ソフトバンクモバイルのウェブページを参照。
電話ができなかったり、GPSが付いてなかったり、静止画撮影の解像度が低かったりといった違いはあるものの、かなりiPhone 4に近づいた印象だ。
しかもiPod touchなら、iPhone 4よりもメモリー容量が大きい64GBモデルが用意されている。写真や動画を数多く転送して出先で見たり、たっぷりのゲームをインストールしておきたい人にとっては容量が少しでも大きいほうが嬉しいもの。
同じ32GBモデルでも、iPod touchのほうが端末だけで3万円ほど安く、月々の通話料金もかからない。コストがかからない分、iPhoneよりも気楽に買えるだろう。
ただ、同じ機能が付いていても、実際に触ってみると使い勝手が大きく異なるということも多い。そこで本稿では持ちやすさ、ディスプレー、速度、カメラ、ビデオカメラといったハードウェアに特化して、第4世代iPod touchとiPhone 4を比較してみた。これからiPod touchやiPhoneを買おうとしている人は、ぜひ参考にしてほしい。
1.持ち運びやすいiPod touchのスリムボディー
まずは持ちやすさだ。意見がわかれるところだろうが、個人的にはiPod touchのほうが扱いやすいと感じた。iPod touchの厚さは7.2mmで、iPhoneの9.3mmに比べると約22%ほど薄い。また重量でも101gとiPhoneの137gより26%軽い。手に取ってみると、明らかにiPod touchのほうが薄くて軽いという印象を受ける。
さらに背面のふちにそって付けられているカーブがポイントだ(といっても旧デザインを引き継いだだけだが……)。テーブルの上に端末を置いていても、カーブの隙間に指の腹を引っ掛けてサッと持ち上げられる。ホールドするときもカーブがあると、手になじむ感じが強い。
一方でiPhoneは外観デザインが四角いものに変更されて、ふちが角ばってしまった。硬いテーブルから手にとるときには指が入る隙間がほとんどないため、つまむときに苦労することがある。
軽くて薄いiPod touchは、長時間の操作にも向いているようだ。筆者はiPhoneを普段使っているが、ごろ寝で顔の上に端末を持ってきてウェブやTwitterを見たり、ゲームをする場合はiPod touchのほうが疲れにくいと感じた。
ワイシャツの胸やジーンズの後ろのポケットにしまって持ち運ぶ場合も、iPhoneでは「入ってるな」という印象を受けるが、iPod touchではより存在を意識させない。「Nike + iPod」でジョギングを始めたい人は、iPod touchのほうが軽くて向いている(個人的にはジョギング目的だけならiPod nanoを勧めたい)。