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部門総評
斎藤一平（PC担当）
IntelとAMDの熾烈なシェア争いで近年盛り上がりまくっているデスクトップPC市場。ゆえに、今年もコスパの良いモデルが山ほど発売され、消費税増税前やWindows 7の延長サポート終了前の駆け込み需要もあり、よく売れたのかなと思います。そんな中、受賞製品はあえて、コスパよりも「記憶に残る」モノを選びました。高価ですが超高性能な構成を採用した意欲作、自作PCパーツの販売代理店が展開する新機軸のBTOブランド、新4K衛星チューナーを採用したテレパソ、既存のアイディアに捉われないディスプレースタンド一体型PC。いずれも記憶に残る特異な性質を備えるレジェンドモデルとなるでしょう。
18コアCPU＋RTX 2080 Ti SLIのダブル水冷！
「MASTERPIECE」（＝傑作、名作）の名に恥じない、ハイエンドタワーBTO PC。CPUは18コア/36スレッドのモンスターCPU「Core i9-9980XE」、ビデオカードには「GeForce RTX 2080 Ti」2枚をNVLink SLIで採用し、CPUもGPUも水冷で冷やす夢のような構成がたまりません。「91万円以上のゲーミングPCの実力を最大約124万円ジサトラメンバーの自宅PCと比較！」では、ジサトラメンバー全員の自作PCを薙ぎ払い、BTOマシンでありながらその圧倒的な性能を見せつけてくれました。税込み91万8024円の構成で、僕の124万円かかった自作PCが倒されて涙目……。文句なしの金賞です。
販売代理店ならではのGIGABYTE固めがユニーク
PCパーツではおなじみの販売代理店、CFD販売が展開するBTO PCブランド「AORUS GAMING PC」の登場は、今年のBTO PC市場では大きな話題に。ブランド名の通り、GIGABYTEのゲーミングブランド「AROUS」系のパーツをメインで採用したPCで、「GPC-01S」はRyzen 7 3700XにGeForce RTX 2080 Tiを搭載するハイエンドモデルです。自作PCでもパーツをひとつのメーカーで固めるユーザーは少なくありませんが、実はマザーボードにビデオカード、メモリー、ストレージ、CPUクーラー、PCケースにいたるまで揃えるのは容易ではありません。そういった意味で、各パーツを取り扱う販売代理店ならではのアプローチが面白く、銀賞受賞となりました。
新4K衛星チューナーを採用するテレパソの生き残り
昔流行った「テレパソ」ですが、近年はだいぶ少なくなってきました。若者のテレビ離れも叫ばれる昨今、チューナーを搭載したPCの需要はかなり減っております。そんな中、新4K衛星チューナーを採用した最新のテレパソを発売しただけでも、富士通クライアントコンピューティングを「よくやった！」と褒め讃えたいところです。そして、CPUには超パワフルなCore i7-9750H、UHD BD対応ドライブ、2.1chのサブウーハー付きステレオスピーカーなど、4Kを最高に楽しむための装備。チューナーをただ搭載しただけの「なんちゃってテレパソ」にはできない芸当です。多くの競合他社があきらめたジャンルではありますが、ぜひ続けていってほしいものです。
「PCをスタンドに入れる？」その発想はなかった
CPUの歴史は集積化の歴史。いまやノートPC向けCPUでも昔のデスクトップPC向けCPUよりも高性能なのは当たり前です。それに伴いロジックボードもかなり省スペースなものが設計できるようになったのですが、まさか液晶ディスプレーのスタンドにまるっと入れてしまうとは、予想もできませんでした。同社のディレクターが発表会で語った、星の王子様からの引用「目に見えているものより見えないもののほうが大切」も胸を打ちました。デスクを広々と使えるPC環境を最大限に実現するとこうなるという理想の形でしょう。液晶も19〜27インチで自由に選べるところもポイント。法人向けのラインですが、個人でも買えるということで特別賞受賞となりました。
