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山谷剛史の「アジアIT小話」 第163回

タピオカミルクティーが推進させたベトナムのシェアエコノミー

2019年04月07日 12時00分更新

文● 山谷剛史 編集● ASCII編集部

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ベトナムでも人気のタピオカミルクティーのお店にはライドシェアのドライバーで一杯である

 東南アジア各国の都市で、バイクのライドシェアの普及が進んでいる。たとえばインドネシアのジャカルタでは多くのバイクが走っているが、既存の公共交通が不十分でバイクタクシーがインフラとなっている。なかでもインドネシアでは「GO-JEK」という国産サービスが席巻し、東南アジアで一般的な「Grab」の人気を上回った。

 GO-JEKは乗客を乗せるサービスだけではない。ユーザーの元にマッサージ師や修理業者や掃除業者をデリバリーするといった方向でサービスを拡張した。詳しくは本連載の「インドネシア版Uberは電子マネーや出張美容師まで、うらやましい超進化」という記事を読んでいただきたい。

バイクの国、ベトナムでも2輪のライドシェアが人気
決済ではクレジットカードも利用可能

 ベトナムでも都市内では幹線道路をバイクや車が埋め尽くす。同国最大の都市「ホーチミンシティ(ホーチミン市)」では、インドネシアとはまた異なるバイクや車を活用するサービスの独自進化が起きている。このホーチミンと首都ハノイなどでは、GrabとGo-JEKのベトナム版「Go Viet」がバイクを使ったシェアサービスで競争をしているのだ。Grabは緑のスタジャンとヘルメット、Go Vietは赤のスタジャンとヘルメットが特徴で、筆者が訪問した2019年初めの時点では緑のGrabのほうが優勢な感があった。

緑のジャンバーとヘルメットを着けているのがGrabのドライバーである

 GrabとGo Vietは自動車の配車も可能(Go Vietは「Go Car」というアプリ)。この国では車はバイクを気にしながら走らないといけないので、バイクと比べてすごく早く移動できるわけではない。それなのに料金が高い車によるシェアライドも人気がある理由は「車のほうが安全」などであり、企業の上級社員は車によるシェアライドで通勤するというケースがあると聞く。

 またベトナムというと、日本では昨年あたりから、技能実習生問題や偽装留学生問題がしばしば話題に上がるため、「ベトナム人=貧しい」と捉えがちだが、ホーチミンの繁華街にいる人々は決して貧しくはない。また、市民がバイクを持てる程度に所得があるなら、バイクをシェアする意味なんかなさそうに思える。

 ところが「4人家族で2台のバイク」というケースもあり、家族全員で移動するときなどに、バイクのシェアライドが役に立つ。そうしたこともあってニーズは高く、バイク乗りはいくらでもいて、アプリで呼べばあっという間に呼んだ場所に来てくれる。

 そんなわけでホーチミンやハノイでの移動では、バイクによるシェアライドが便利だ。早くておまけに安く、アプリ側で料金を計算するから明朗会計で安心だ。GrabはMocaというキャッシュレス決済が利用でき、さらに安くなる。そのGrabではクレジットカードによる支払いも可能で、筆者も三井住友VISAカードを登録して乗りこなした。一方のGo Vietは、ローカルの電話番号が必要なので、旅行者が利用する場合は、空港で番号付きのSIMカードを取得したうえで、ユーザー登録時に電話番号を入力する必要があり少々面倒だ。

ベトナムでは比較的有力なキャッシュレスサービスの「MOMO」の看板

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