市場規模は2倍になったが
IBMの市場占有率は半減
これが1988年になると、そもそも市場全体で1500万台が販売され、うちIBM-PCとその互換機は1190万台を占めている。で、IBMはというと1988年末の段階で122万9000台を出荷したことを発表している。
IBMの出荷台数はおおむね横ばいであり、その一方で市場は2倍近くに膨れ上がっているわけで、自動的に市場占有率は半減した格好だ。この責任をとって、Lowe氏は1988年にIBMを辞任する。
Lowe氏なき後も、IBMはMCAを中核に据えてPS/2のラインナップを拡充していく。日本でもPS/55という名称で、PS/2の日本語版マシンが出るようになった。
ただCOMPAQを中心とした互換機メーカーは1988年にEISAを策定し、その後VESAが主導する形でVL-Busが1992年に登場、最終的に1993年あたりからPCIが普及を始めることになり、このあたりでIBMもついに業界の流れに逆らえなくなってきた。
もともとIBMも1990年からPS/1という名称でISAベースのマシンを導入しており、日本ではこれをベースにPS/V Visionなどが発売されている。このPS/V Visionの中にはVL-Busを搭載したモデルもあり、外堀は埋まりつつあったというべきかもしれない。
MCAはPS/2のみならずRS/6000などでも採用されていたが、これらもすべてPCIに置き換わっていった。PS/2の最後のモデルは1994年に発売されたModel 76I/76S/77I(IBM 9576/9577)で、プロセッサーはIntel 486SX/DX2のデスクトップタイプである。これを最後にIBMはMCAを捨て、互換機路線に舵を切ることになる。
この連載の記事
-
第803回
PC
トランジスタの当面の目標は電圧を0.3V未満に抑えつつ動作効率を5倍以上に引き上げること IEDM 2024レポート -
第802回
PC
16年間に渡り不可欠な存在であったISA Bus 消え去ったI/F史 -
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ