このページの本文へ

初めてでも安心!16コア32スレッドのRyzen Threadripper 1950Xの作り方【自作編】

2018年08月24日 12時00分更新

文● ジャイアン鈴木 編集●ジサトラ ハッチ

sponsored

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 筆者が最初に購入したパソコンはシャープの「MZ-2000」。このマシンには4MHzの「LH0080A」(シャープ製)が搭載されていました。さてそんなマシンからPCを使い始めたワタシですが、PCに要求するマシンパワーは高まる一方。

 現在6コア12スレッドのCPUを搭載した自作PCをメインマシンに使っていますが、動画編集などの重たい作業をするたびにアップグレードの欲求に駆られています。

 そんな悶々するなかでASCII.jp編集部から、16コア32スレッドの「Ryzen Threadripper 1950X」を体験してみないかとの依頼(ルビはユウワク)が……。8月13日には32コア64スレッドという圧倒的なRyzen Threadripper 2990WXの発売、8月末には16コア32スレッドの2950Xが登場予定で、価格動向が気になる1950X。実際に、自分の今使用しているPCよりもどれぐらい動画編集などに有効なのかなど、大層気になったので喜んで引き受けた次第です。

どんなパーツでRyzen Threadripperマシンを作るのか?

 さて今回、Ryzen Threadripper 1950X搭載マシンを作るにあたって選定したパーツは下記の通りです。

【検証環境】
種別製品名価格
CPUAMD「Ryzen Threadripper 1950X」10万8000円前後
グラフィックスASRock「Phantom Gaming X Radeon RX580 8G OC」3万9000円前後
メモリーCorsair「CMK32GX4M4B3200C16」5万2000円前後
マザーボードASRock「X399 Taichi」4万4500円前後
CPUクーラーNZXT「KRAKEN X72 RL-KRX72-01」2万7000円前後
システムドライブSamsung「970 EVO MZ-V7E250B/IT」1万2800円前後
データドライブSeagate「BarraCuda ST4000DM004」8400円前後
PCケースLIAN LI「O11 AIR」1万5500円前後

価格は8月23日のもの

総額はずばり30万7200円。意外と安い?

 マザーボードやメモリーは信頼性に定評があるちょっと高めの製品をセレクトしつつも、SSDは低容量に抑えて、ハードディスクを組み合わせたり、グラフィックボードはミドルクラスに抑えながら、同価格帯の他社モデルよりもベースクロックが高い製品を選ぶなどコストパフォーマンスを意識して選定しました。最近のハイエンドノートPCと比較すると、価格帯性能比ですっごく安く感じられます。やっぱりデスクトップPCってオトクですよ。

AMD 製CPU「Ryzen Threadripper 1950X BOX」。基本クロックは3.4GHz、最大ブーストクロックは4GHz。16コア32スレッドによる圧倒的なパワーが魅力です

ASRock製マザーボード「X399 Taichi」。Ryzen Threadripper用のTR4 Socketを採用。DDR4 DIMMスロットを8基搭載し、メモリーを最大128GBまで搭載可能です。高耐久パーツを採用しながらもコストパフォーマンス◎

NZXT 製CPUクーラー「KRAKEN X72 RL-KRX72-01」。120mmファンを3基搭載した静音設計。発光する水冷ヘッドが綺麗。AMD、インテルの多くのソケットに対応します

Samsung製SSD「970 EVO MZ-V7E250B/EC」。シーケンシャル読み出しは毎秒3400MB、書き込みは毎秒1500MBを実現。5年間の限定保証がついており、耐久性には定評があります

Seagate製HDD「BarraCuda ST4000DM004」。4TBで8000円台という圧倒的なコスパを実現。データドライブにもってこいです

Seasonic電源「SSR-850TR」。80PLUS Titanium認証に準拠。高性能流体動圧軸受ファンにより動作音と発熱を低減。12年間の新品交換保証が付いています

LIAN LI製ケース「O11 AIR」。トップ、フロント、サイド、ボトムに120mmファンを3基搭載可能と、エアフローを重視した設計。筐体は272×465×476mmと大きいですが、そのぶんメンテナンス性が高いです

Corsair製メモリー「CMK32GX4M4B3200C16」。Ryzen環境での安定動作が謳われています

ASRock 製GPU「Phantom Gaming X Radeon RX580 8G OC」。ASRockが初めて出したグラフィックスカード。オーバークロック仕様で、同価格帯の他社モデルよりもベースクロックが高いのが売り

Ryzen Threadripper 1950Xマシン自作のキモ

 ハイパフォーマンスなRyzen Threadripper 1950Xだからといって、PCを自作するにあたっての流れは基本的には変わりません。人によって多少手順は前後しますが、筆者は今回下記のような流れで作業を進めました。

①マザーボードにCPU、メモリー、SSDを装着

②マザーボードをPCケースに取り付け

③電源を取り付け

④HDDを取り付け

⑤CPUクーラーを取り付け

⑥ケーブル類を配線

⑦グラフィックスカードを取り付け

 グラフィックスカードを最後に取り付けている理由は、ケーブルを配線する際にひんぱんにケースを動かすためです。グラフィックスカードは結構重いわりに、端子とふたつのネジだけで自重を支えています。

 よほど乱暴に扱わないかぎり落脱することはないでしょうが、精神衛生上よろしくないのでワタシは最後に取り付けることにしています。

Ryzen Threadripperマシン自作ならではの注意点

 先ほど、「Ryzen Threadripper自作の流れは基本的には変わりません」とお伝えしましたが、それでもいくつか注意点はあります。Ryzen Threadripperは同梱されているT20のトルクレンチで必ず固定しなければならず、またネジを締める順番も決められています。

同梱のトルクレンチは規定のトルク値を超えると空回りするので、誰でも適切なトルクで締められます。ちなみに設定されているトルク値は15Nm以上。初めて締めるとかなり強く感じられるので、壊れるのではないかとちょっとドキドキです

 またCPUクーラーを取り付けるアタッチメントは、NZXT 製CPUクーラー「KRAKEN X72 RL-KRX72-01」には同梱されておらず、Ryzen Threadripperに入っているものを使います。無理矢理非対応のアタッチメントで取り付けようとしてマザーボードを壊さないように注意してください。

Ryzen Threadripperのパッケージの底に、CPUクーラー取り付け用のアタッチメントとT20のトルクレンチが収められています

 CPUクーラーの取り付けにはグリスが必須ですが、Ryzen Threadripperのパッケージサイズは大きいので、専用のCPUクーラーでなければ全体を覆えません。

 つまりCPU全体にグリスを塗ってしまうと、盛大にはみ出すことになります。はみ出したままではケース内のホコリが付着してしまう可能性があります。汎用のCPUクーラーを使用する際には、CPUクーラー側にグリスを塗ることをオススメします。

汎用のCPUクーラーではRyzen Threadripper全体を覆えません

グリスはCPUクーラー側に塗りましょう

さっそくベンチマーク「CINEBENCH R15」でパフォーマンスをチェック!

 特にトラブルなくRyzen Threadripper 1950Xマシンが組み上がったので、とりあえずBIOSは初期設定のままWindows 10をインストールし、最新アップデート適用後に「CINEBENCH R15」を実行してみました。その結果がコチラ。

CINEBENCH R15のCPUスコアが3001cb

 いやあ、まったく設定をいじらずにCINEBENCH R15のCPUスコアが3000cbを超えるなんて本当にビックリ。中身を新調したばかりの私物デスクトップPCが急に色褪せて見えてきました。

 先日発売された第2世代のRyzen Threadripper 2990WXは32コア/64スレッドと圧倒的な性能を有していますが、20万円超えとかなりお高め。ゲームや動画編集を行なう人には、8月末に発売されると予想されるRyzen Thredripper 2950Xの方がオススメできますが、第2世代が発売されたことで、さらに1950Xが安くなったら買わないわけにはいかない!

BIOS設定を調整するどころか、まだケーブルマネージメントすらしていません

 次回のベンチマーク編では安定運用できる範囲で各種設定を微調整したうえで、クリエイティブ系アプリケーションでのパフォーマンスを検証してみたいと思います。

●関連サイト

カテゴリートップへ