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麻倉怜士のハイレゾ真剣勝負 第16回

麻倉推薦:アルゲリッチ、グールド、高岡早紀、中島美嘉、サンタナまで

2017年09月08日 12時00分更新

文● 麻倉怜士 編集●HK(ASCII)

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 評論家・麻倉怜士先生による、今月もぜひ聴いておきたい“ハイレゾ音源”集。おすすめの曲には「特薦」「推薦」のマークもつけています。8月の新盤を中心に優秀録音をお届けしています。e-onkyo musicなどハイレゾ配信サイトをチェックして、ぜひ体験してみてください!!

Martha Argerich and Friends Live from the Lugano Festival 2016
Martha Argerich

 うっかり触ると火傷しそうな、熱気とエモーションを持つマルタ・アルゲリッチの最新録音。筆者が講義を受け持っている早稲田大学エクステンションセンターの来年のコンテンツが「映像で鑑賞するマルタ・アルゲリッチの凄絶名演奏」。そのシラバス(授業計画書)提出と、本ハイレゾを試聴した時期が重なったため、より印象的に本ファイルが聴けたのである。ちなみに、早稲田では古典派、ロマン派、近代、民族派、ラテン作品……でのアルゲリッチの古今の名演奏を映像で観てその素晴らしさを体験する。

 さて、本ハイレゾは2002年から、スイスはルガーノ・フェスティヴァルで毎年開催されていた、アルゲリッチによる「若手音楽家育成のためのプロジェクト」最終回の白熱のライブ。毎年の熱演が「アルゲリッチ&フレンズ」のタイトルで、CDやBDでリリースされ続けてきた恒例のコンサートだ。ラヴェル:夜のガスパール。なんとも凄い音だ。44.1kHzなのに、これほどの透明感、鋭い尖り方、伸びの鮮明さ何だ!と感嘆する。右手の一音一の打鍵が確実に輪郭を描き、左手のファンタジー的なアルペジオが、神秘的な輝きを持つ。響きも相当に多いが、解像度がひじょうに高いのである。

 ラベル・ピアノ協奏曲。冒頭のバチの衝撃音から始まる、まさに高音質の絢爛さが、耳の快感だ。オーケストラのソロ楽器が目立ってフューチャーされるが、同時に全体との統一感も充実。ピアノの疾走感と華麗さは、他の追随を許さない。これほどの高音質なラベルコンチェルトも珍しい。2016年6月7日から30日、スイス・ルガーノで録音。

FLAC:44.1kHz/24bit
Warner Classics、e-onkyo music

Bach: The Well-Tempered Clavier, Book II, Preludes & Fugues Nos. 9-16, BWV 878-885 - Gould Remastered
Glenn Gould

 グールドの平均律ほど、マニアックにさまざまなメディアでリマスターやDSD化された音源もない。バッハ解釈を変えた偉大な演奏であり、このアナログの絶頂期の名録音には、後年のさまざまなイノベーションが格好のターゲットとしたきた歴史的な経緯がある。今回は、2012年にハイレゾでリマスターされた音源だ。グールドのバッハは、ピアノでなければ表現できない明晰さと、緻密な音進行、音の輝き感と対位法における各声部の明確、明瞭さが美質だが、ハイレゾリマスターでは、グールドが求めている明晰、明確さが、さらに磨きがかけられた。打鍵の鋭さと輪郭の正確さが、一点の曇りもない硬質な解像感から、正しく伝わってくる。グールド芸術の、まさにワン・アンド・オンリーの凄さを体験できるハイレゾだ。

FLAC:44.1kHz/24bit
Sony Classical、e-onkyo music

SINGS -Daydream Bossa-
高岡早紀

 スウィートでメロウな歌唱の高岡早紀の魅力全開のアルバム。冒頭の「やさしいメロディ、ケセラ」。セクシー度は高いが、決して粘っこいテクスチャーでなく、クリーンでクリヤーな感覚もある。前作「高岡早紀 SINGS -Bedtime Stories- ~election~」 (2014年)は夜の雰囲気だったが、今回は白日夢がテーマで、どちらも夢見心地。低音の表情が豊かで、しっとりとしたボディ感のあるヴォーカル。優しさと色気が混在した音色にはうっとり。カバー曲「イパネマの娘」の日本語のセンシャルさとニュアンス感の豊穣さは、耳の快感だ。八神純子の「みずいろの雨」はオリジナルのシャープネスとは違う、情感の豊かさと麗しさに聴き惚れる。

WAV:96kHz/24bit、FLAC:96kHz/24bit
VICTOR STUDIO HD-Sound.、e-onkyo music

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