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やっぱりスマホ新製品に注目! MWC 2017レポート第32回

SIMカード不要でデータ通信できる「eSIM」搭載スマホが続々登場

2017年03月05日 12時00分更新

文● 山根康宏 編集●ASCII.jp

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 MWC 2017の会場には、複数のメーカーがSIMカードを使わずにデータ通信できるスマートフォンを展示していました。いずれもソフトウェアSIM、いわゆる「eSIM」を搭載した製品です。用途は海外に出かけた際に、ローミング料金を支払わずに比較的安価な通信を行なうためのもの。現地でプリペイドSIMを買わずとも、スマートフォンのメニューから料金を選んで利用できるのです。iPadの「Apple SIM」に近いイメージですが、Apple SIMとは異なり、SIMそのものを入れる必要はありません。

 この分野の製品としては、CES 2017でNUU Mobileが「NUU X5」を出展していました。ただし、CESではアプリの準備が間に合わず動作は試せませんでした。MWC 2017では動作モデルを展示するという話を聞いてブースを訪問したものの、海外渡航時に料金を選べる「NUU Konnect」アプリが間に合っておらず、動作は試せませんでした。

 料金は世界統一で1日定額10ドル(約1150円)。NUU X5のNUU Konnectアプリを起動すると料金の購入メニューが表示され、支払いを行なうとその時点からデータ通信が可能になります。なお、NUU X5にはSIMスロットもあるため、別途現地で購入したプリペイドSIMを入れてそちらを使うことも可能です。ブース担当者によるとNUU X5の出荷は3月末、販売先はヨーロッパやアジア各国になる予定とのこと。

NUU X5はeSIM内蔵。海外渡航時にアプリから10ドルの定額料金を選び利用できる

 一方、日本でも代理店経由などでグローバル対応ルーターを販売するuCludlinkは、そのローミング機能をスマートフォンアプリとしてプリインストールした製品を展示していました。スマートフォンは自社開発ではなく、展示されていたのはシャオミの「Mi Max」。uCloudlinkはローミングアプリとソリューションを提供し、スマートフォンメーカーがそれを自社製品に搭載するというビジネスモデルになっています。

他社スマートフォン向けのeSIMローミングソリューションを提供するuCloudlink

 Mi Maxのホーム画面に見えるアプリケーション「GlocalMe」が、海外用のデータ料金を購入できるアプリです。GlocalMeはすでにWi-Fiルーターが販売されており、ヨーロッパ7ヵ国で1GB/8ユーロ(約960円)や、全世界定額年間プラン/335ユーロ(約4万円、毎月2GBまで高速通信)など多彩な料金を出しています。

uCloudlinkが展示するシャオミのMi Max。GlocalMeアプリをプリインストール

 スマートフォンのGlocalMeアプリを起動すると自動的に現地の回線に接続され、メニューから料金を選ぶだけで使うことができるわけです。uCloudlinkのブース説明員によると、同社の強みは同一国で複数キャリアと契約を交わしていること。つまり、渡航先でデータ通信がつながらない場合は、自動的に別のキャリアに接続するようになっているそうです。

GlocalMeのアプリからは料金の購入やデータ利用量の確認が可能

 同社のこのソリューションをスマートフォンメーカーが採用すれば、どのスマートフォンも海外渡航時にスマートフォン本体からデータ料金の購入が可能になるわけです。もちろん、自分の国をカバーする料金があれば、そのまま地元キャリアと契約せずに使うことも可能。プリペイドSIMの料金が高い国などでは、意外と地元利用が便利なケースもあるかもしれません。今後は他のメーカーへの採用も働きかけるということで、同様の製品がこれから増えてくることでしょう。

eSIMによる接続が「GlocalMe」と表示されている。右側のアンテナマークはスペインOrangeの現地SIM

 eSIMが登場する前にもこの手のグローバル通信対応端末が登場していました。Urosが開発したルーター「Goodspeed」は、SIMスロットが10基もある豪快極まるルーターでした。その後4Gに対応した「Goodspeed 4G」も登場。各国ごとの専用SIMを買えば、現地のプリペイド料金なみに安い価格で通信できるという優れたデバイスでした。とはいえ、渡航先ごとにSIMを購入する手間がかかりました。

SIMスロット10基のルーターを出しているUros

 そこでUrosは複数のSIM切り替えではなくeSIMを採用し、それをスマートフォン向けに開発。uCloudlink同様にスマートフォンメーカー向けにソリューションを提供。第1弾としてルーターでも協業したZTEのスマートフォンに搭載が決まったとのこと。なお同社のブースには残念ながら実機は無く、製品パッケージだけが展示されていました。

ZTEのスマートフォンをeSIM対応に。SIM無し、Goodspeedアプリを使い安価な料金で通信できる

 さて、eSIMの採用はこれら新興メーカーだけではありません。中国ではレノボが自社スマートフォンの一部にeSIMを搭載しています。また、LTE内蔵のノートPCにも対応を広げていくとのこと。レノボはこのソリューションを“Lenovo Connect”と呼んでいます。

MWC 2017レノボブースのeSIMソリューション展示コーナー

 ブースに展示されていたeSIM対応スマートフォンは「Lenovo Lemon X3」。ヘキサコアのSnapdragon 808、5.5型フルHD(1080×1920ドット)ディスプレー、メインカメラ2100万画素という上位モデル。「LeRoaming」アプリを標準搭載しています。アプリを起動するとすぐに地元キャリアの回線に接続し、料金選択画面が出ました。1日28元(約460円)または1週間168元(約2780円)で利用できます。もちろんこの時点でLemon X3にSIMは入れていません。SIM無しでアプリを起動して、アプリからすぐプランを購入できるのです。

LeRoamingアプリをプリインストールしたLemon X3
スペインは1日と1週間、2つの料金を選択できる

 今後LTE内蔵のノートPCへの搭載が進めば、Wi-Fiルーターやスマートフォンのテザリングも不要で、海外渡航中いつでもPCの画面からデータを購入してそのままネット接続を活用できます。LTE内蔵のノートPCは、いずれeSIM搭載が標準になっていくかもしれません。

レノボはノートPCにもeSIM搭載を進めるようだ

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