10月27日に開催された楽天モバイルの発表会では、新端末の追加や他キャリアに追従した大容量プランの発表など、一見したところ無難な内容に終始しました。
しかしその中でも賛否両論になったのが、いわゆるガラホと呼ばれるAndroidベースのガラケーの取り扱いです。格安スマホに続き、「格安ガラケー」とでも呼ぶべき存在がここに誕生したのです。
スマホ時代にもしぶとく生き残る日本のガラケー
ガラケーはしぶとく残っています。内閣府が今年4月に発表した調査では、スマホがガラケーを上回ったのは2015年度のこと。世帯普及率はスマホの67.4%に対し、ガラケーは64.3%も残っています(2台持ちなどにより合計は100%を超えている)。
大手キャリアにもガラケーは健在です。たとえばドコモは、2016年冬春モデルとして「AQUOS ケータイ SH-01J」「P-smart ケータイ P-01J」「らくらくホン F-02J」の3機種を発表したばかりです。
今回、楽天モバイルが取り扱いを発表したシャープのガラケーはMVNO向けの製品という位置付けで、今後は他の事業者も取り扱いを発表する可能性があります。
その中身は、従来のガラケーとは異なりAndroidをベースにしたもの。LTEやVoLTEにも対応した、いわゆる「ガラホ」です。しかし使い勝手や操作感はしっかりガラケーを再現しています。
格安スマホに続く「格安ガラケー」への期待
なぜ、ガラケーは減らないのでしょうか。携帯電話を「連絡手段」と考える人にとっては、電話やメールが使えれば十分です。新しいことを覚えたくないという人も多く、「スマホにすると料金が高くなる」というイメージも根強く残っています。
しかし格安スマホや格安SIMの普及で、その状況も変わりつつあります。一般メディアが話題として取り上げる機会が増え、テレビCMが流れるようになり、ショッピングモールや家電量販店にリアルの接点ができたことで、「格安」の認知度は急速に上がってきました。
すでに楽天モバイルでは、新規契約者の80%が音声SIMを選択しており、メイン端末としての用途では楽天モバイルが市場シェアNo.1との調査も出てきています。大手キャリアのガラケーユーザーが、「格安スマホはあるのに、なぜ格安ガラケーがないのか」と不満を持つのも、自然な流れといえます。
しかし、これを機にガラケーユーザーが大手キャリアからMVNOへ大移動を始めるかといえば、まだ課題は残っています。
ガラケーユーザーを取り込むのはまだ困難
まず、ガラケーは意外と安くないという問題があります。折りたたみの機構はもちろん、ボタンの数も多く、「一枚板」の形状をしたスマホよりコストがかさむ構造をしています。
これに対してAQUOSケータイは、MVNO版ではサブディスプレイを廃止するなどコストダウンを図っています。しかし本体価格は2万4800円(税別)で、ミドルレンジのスマホ並みです。
料金プランはどうでしょうか。楽天モバイルはAQUOSケータイの料金として最初の2年間が「月額3483円」という例を挙げ、大手キャリアと比較しました。その内訳は、3.1GBのデータ通信プランが1600円、5分かけ放題が850円、端末代金(24ヶ月の割賦払い)が1033円となっています。
スマホのコミコミプランは月額1880円から(ただし1年目のみ)で、2000円を切っています。これに比べて月額3483円のガラケーはいかにも割高に感じます。ただ、この比較はちょっと「真面目すぎる」印象もあります。
たとえばデータは200kbpsの「ベーシックプラン」に、5分かけ放題をオプションにすれば、月額2000円強でデータ使い放題のガラケーを持てる、という打ち出し方もできるはずです。
別の問題として、「キャリアメールが使えない」のは痛いところです。ガラケーユーザーの中にはキャリアメールに依存している人も多く、アドレスが変わるのは避けたいところ。しかも「LINE」に非対応で、Google Playがないため追加することもできません。
今回はSIMフリーのガラケーとして最初の端末ということもあり、いろいろと手探りの部分がある印象です。大手キャリアがしっかり囲い込んでいるガラケーユーザーを誘い込むには、もう一歩踏み込んだ施策を期待したいところです。
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