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山根博士の海外モバイル通信 第272回

au史上最薄スマホ「Galaxy A8」はどんな位置付けのスマホなのか

2015年12月17日 16時00分更新

文● 山根康宏 編集●ゆうこば

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 毎年フラグシップモデルの「Galaxy S」シリーズや「Galaxy Note」シリーズを日本に投入して来たサムスン。この冬はドコモ向けに同社史上最強ともいえるタフなスマホ「Galaxy Active neo SC-01H」を投入、それに加え「au史上最薄!大迫力プレミアムスマホ」をうたう「Galaxy A8 SCV32」を発表しました。

 いきなり出てきたA8という名前、何の意味があるの?と不思議に思う人がいるでしょう。今回は最新のGalaxyシリーズのラインナップの型番のおさらいしてみましょう。

スペックはミドルハイエンド、厚さ6ミリを切る「Galaxy A8」

 2015年のau向け冬モデルとなるGalaxy A8は6ミリを切る薄型ボディーに5.7インチの大画面ディスプレイを搭載。iPhone 6s Plusは7.4ミリですから、その薄さの違いは手のひらで体感できるレベル。重量も153グラムで、持ってみると「大きい!でも薄い!そして、軽い!」という印象を受けるでしょう。画面解像度はフルHD(1080×1920ドット)とハイエンド機と比べるとやや落ちますが、明るいF値1.9の1600万画素カメラは上位モデルに匹敵します。バッテリーも3050mAhと余裕の大容量を搭載しています。

2015年にGalaxyシリーズを大胆に整理

 とはいえ、A8という型番はいったいどこから来ているのでしょう。いままでのGalaxy Sシリーズとの違いがよくわかりませんよね。日本ではこれまでハイエンドモデルばかりが投入されてきたため、GalaxyイコールGalaxy SやGalaxy Noteシリーズ、という印象が強いでしょう。しかし、グローバルではミドルレンジやスタイリッシュモデル、そして格安なエントリーモデルまで100機種近い端末を毎年出していたのです。それだけモデルがあると、それぞれに名前を付けていくうちに消費者もどれがどれだかわからなくなり、サムスン側も次のモデルのネーミングに悩む、なんて状況になっていました。

 そこで、2014年から全ラインアップを整理。2015年中にすっきりとした5系列に統合したのです。

5つのラインに統合。画面サイズ・スペックごとにシリーズ名をわける

 ラインナップが整理されたことで、現在のサムスンのグローバルモデルは型番がわかりやすくなりました。フラッグシップはGalaxy NoteシリーズとGalaxy S6シリーズ。これ以外に、スタイリッシュなボディーが特徴の「Aシリーズ」、あらゆるユーザー層をターゲットにした標準モデルといえる「Eシリーズ」、そして新興国をおもなターゲットにした「Jシリーズ」と、合計5つにわかれています。さらに、各ラインアップの中で、スペックごとに上位から下位のモデルを展開。型番につく数字はほぼ画面サイズごとにラインアップ間で統一されています。それに加えて上位と下位モデルの間ではCPUやメモリ、カメラ性能に差をつけているのです。

AシリーズはGalaxy Alphaが元祖

 ということで、Galaxy A8は「スタイル」重視のデザインモデル。そして、Aシリーズの中でも最大の画面サイズで、スペックも高めの製品です。このAシリーズは、2014年夏に登場した金属フレームの高級モデル「Galaxy Alpha」が元祖とも言われています。ハイエンドのラインとは別のモデルを模索したサムスンがスタイルを前面に押し出した意欲作でした。

Jシリーズは先進国でも売られる

 A/E/Jの3シリーズのうち、Jシリーズはおもに新興国向けの製品です。そのため「J1」、「J2」、「J3」と下位モデルがそろっている上に、「J3」と「J5」が同じ画面サイズでカメラ画質を変えるなど、ミドルレンジ以下を重視したライン。価格が低いことから新興国の地元メーカーとも戦える製品を増やしているわけです。また、低価格なことから先進国でもヨーロッパではプリペイドで売られることも。ということで、このJシリーズは世界中どこでも見られるラインアップとなっています。

Galaxyの王道を行くEシリーズ

 「最近のGalaxyはイメージが変わりすぎちゃって、ちょっと」という人向けなのがベーシックモデルともいえるEシリーズ。その外見は「Galaxy S5」など以前のGalaxy Sシリーズに酷似していて、本体の質感もほぼ同等。側面デザインなどもまさしく「これぞGalaxy」と言えそう。ラインナップが意外と少ないのは、標準&ミドルレンジに特化しているからでしょう。

防水や折り畳みなど、他の派生モデルもいろいろ出ている

 5つのシリーズに集約されたとはいえ、日本発売のGalaxy Active neoのベースモデル「Galaxy Xcover」や、Tizen OS搭載の「Galaxy Z1」、「Galaxy Grand」シリーズなどの派生モデルもいくつか存在します。

 写真の「Galaxy Folder」はフィーチャーフォンスタイルの折り畳み式スマホです。これらのモデルはスペックやターゲットを特定層向けとしているために、すべての国では販売されていません。メインモデルを基本として、それに追加して地域ごとに細分化モデルを投入、こうすることで製品数が増えてもモデル名が混乱してわからなくなってしまう、ということを避けているわけです。

2016年のモデルはどうなる?

 新しいラインアップのこれらモデルは2014年後半から2015年中に登場しました。当然2016年にも新モデルがリリースされる予定です。では、型番はどうなるのでしょう?Galaxy A8の後継機が来年末に出るとして、その名前は「A80」とか「A18」とかになるのでしょうか?

 サムスンによると今後はこれらベーシックモデルの名前は変更せず、その後に年を付けたモデル名になるとのこと。つまり、Galaxy A8の後継機は「Galaxy A8(2016)」のようになるそうです。なお、すでにリーク情報として6インチの「Galaxy A9」が出てくるらしく、来年はまだ空欄になっている場所に新モデルが登場する可能性もあります。

2016年はSIMフリー機国内投入もお願いしたい

 モデル数がありすぎて何がなんだかわからない、という状況から、いまのサムスンのラインナップは表にすれば一目瞭然、どのモデルがどのような位置づけにあるのかわかりやすくなりました。ハイエンド、スタイル、低価格など消費者のあらゆる要望に応じれるだけのモデルが用意されているわけです。

 たとえば、MVNO向けに低価格で画面サイズの大きいものを、という時は「J7」があるわけですね。2016年の日本のスマホ市場はいま以上にSIMフリー機やミドルレンジクラスのモデルが増えそうな予感がします。サムスンも積極的にSIMフリー機を日本にぜひ出してほしいものです。

山根康宏さんのオフィシャルサイト

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