Mozillaが2013年以来大きなフォーカスとともにプッシュしてきたモバイル向けOS「Firefox OS」の市場戦略を変更した。キャリアからのFirefox OSスマートフォンの提供は打ち切りとなる。「最善のユーザー体験を提供することはできなかったため」と説明している。だが、Firefox OS開発の中止予定はないとのことだ。
本格的なデビューから3年弱
Firefox OSはスマートフォン向けの開発を打ち切る
Mozillaがウェブブラウザーに並ぶ一大ムーブメントを、として取り組んできた「Firefox OS」、今回同OSを搭載したスマートフォンのキャリアからの提供が打ち切りとなった。発表されたのは、米フロリダ州オーランドで開催中の開発者イベント「Mozlando」においてでTech Crunchなどが報じた。
Mozilla Japanによると打ち切りの背景として、「ローエンドのスマートフォンから、HDTVまでスケールすることで、Firefox OSはウェブの持つ柔軟性を証明した」と効果をアピールしながらも、「最善のユーザー体験を提供できなかった」としている。OSの開発については中止予定はないとのことだが、キャリアが行なっている端末の提供を中止する。
「Mozillaは、Firefox OSがウェブプラットフォームに加えた利益に誇りを持っており、コネクテッドデバイス間のユーザー体験に関する試みは続けて行きます。私たちは全てのものをオープンソース体制で開発し、ユーザ体験を第一にエコシステムが発展できるようなツールを作っていく」としている。
オープンなWebの推進を大きなミッションとするMozillaは、それまで主体としてきたウェブブラウザー「Firefox」の開発を拡大し、HTML5ベースのモバイルOS「Firefox OS」に注力してきた。前身は2011年7月に実験的プロジェクトとして明らかにした「Boot to Gecko(B2G)」で、Firefox OSとして大々的に発表したのは、2013年の「Mobile World Congress」においてだ(関連記事)。
同じ時期に発表されたJolla(Sailfish OS)、Canonical(Ubuntu)、Tizenとともに、新しいOSの動きを形成した。Mozillaは提携キャリアを通じて同年夏にいち早くFirefox OSスマートフォンを投入、南米などの途上国市場向けに提供されてきた。
一方で、これらの新しいOSは必ずしも順調ではなく、11月にはJollaが一時なレイオフを発表した。調査会社の数字をみても、iOSとAndroidの合計のシェアは96.7%(IDC調査、2015年第2四半期)、Firefox OSやSailfish OSの「その他」カテゴリは過去最低の0.4%に縮小している(関連記事)。
Firefox OSベースのスマートフォンは、TCL(Alcatel OneTouch)LG、ZTE、Huawei Technologiesなどが作成しており、ソニーモバイルも参加を表明していた。日本ではKDDIがLG製の「Fx0 LGL25」を投入。ほかの市場では安価なスマートフォンという位置付けだったFirefox OSにおいて唯一のハイエンド機種となった。
Mozillaによると、コネクテッドデバイス間の新しい試みや活動については、今後明らかにする予定という。
【12/10 13:00追加】
Mozillaのコネクテッドデバイス担当Ari Jaaksi氏は12月9日付けのブログで、IoTのトレンドに触れ、「Firefox OSプロジェクトの一部として開発された技術を利用して、将来に向けた取り組みを進める」とコメントした。これまでのキャリアを通じたスマートフォンの構築と出荷は中止するとのことだ。
公開当初、記事タイトルおよび一部内容に間違いがありました。お詫びするとともに修正いたします。(12/10 13:00)