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MeeGoから発展した「Sailfish OS」のJollaがリストラを発表、代替OSが直面する課題を共同創業者が説明

2015年11月26日 17時30分更新

文● 末岡洋子

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 フィンランドのモバイルベンチャーJollaが一時解雇と債務再編を行なうことを認めた。会長兼共同創業者のAntii Saarnio氏は11月28日、公開書簡を発表して決定の背景と出荷が遅れているタブレット「Jolla Tablet」の見通しについて説明した。

 Jollaは、元Nokiaで「MeeGo」の開発にあたっていたチームが立ち上げたモバイル企業。MeeGoを土台とする新しいモバイルOS「Sailfish OS」の開発とライセンスを主事業とすることを目標にしており、Sailfish OSを搭載したスマートフォン「Jolla」を2013年末に発売した。2014年末にはタブレットにも拡大、合わせてOSライセンス事業の立ち上げを図っている。

2013年末に発売されたJollaスマホの第1弾

 今回のJollaの債務再編は、11月20日にReutersなどが報じていた。Saarnio氏は「Jollaコミュニテイへ」とした28日の公開書簡で、11月の投資ラウンドが予定通りいかなかったと説明している。

 Saarnino氏は11月12日、フィンランドの首都ヘルシンキで開催されたスタートアップイベント「SLUSH 2015」で、Jollaの歴史を振り返りながら、現在3回目の危機にあると説明したところ、その翌日に11月の投資ラウンドに参加している主要投資家が撤退するという連絡を受けたという。この投資ラウンドでは、合計で約1000万ユーロを調達することになっていたとのことだ。これにより財務問題が悪化し、会社の存続そのものが危機に陥ったとしている。

 これを受けてJollaは先週、一時解雇と債務再編を行うという決定を下したとのこと。債務再編は米国のチャプター11のフィンランド版のようなもの。今後、遅れている投資ラウンドを固めることでこのような状態を一時的なものにとどめたいと記している。12月に投資ラウンドに成功すれば、タブレットプロジェクトを含め問題を解決できるという。

 Saarnino氏はタブレットの遅れについても説明している。Jollaは2014年11月に自社OS「Sailfish OS」を搭載したタブレット「Jolla Tablet」を発表した。提供方法は、クラウドファウンディングサービスIndiegogoのプロジェクトとして、出資した人に提供するというモデルをとった。クラウドファンディングプロジェクトは目標金額の480%となり、その後2回目のキャンペーンを行なった。自社ウェブサイトでも予約を受け付けたが、出荷が遅れていた。

Jolla Tabletは今は予約できない状態

 現在、Jolla Tabletのコストは事前に受けとった売上を上回り、損失が出ている形だという。コストの50%以上がSailfish OSの開発に費やされたとのことだ。

 当初の出荷の遅れは主としてディスプレーやその他の部品調達であり、これが予算オーバーを招いたという。Saarnino氏は「Jolla Tabletは営利よりもSailfish OSを次のレベルにするという目的の方が大きかった」とし、タブレットが現在の財務危機を招いた主要な理由ではないものの、出荷の遅れが財務面に影響していると記している。

 今後のステップとして、12月に投資ラウンドを固めることにフォーカスするとともに、Jolla Tabletの問題を解決する別の策も模索するとしている。

 Jollaは、AndroidとiOSに代わる「代替OS」の提供を目指しているが、Saarnino氏は書簡にて、「代替OSは実に大きく、課題の多いアジェンダだ。しかし、非常にゆっくりではあるが前進していると信じている」と記している。そして、自分たちの考え方は市場を先駆けるもので、追いつくのを待つ必要があると、Jollaが抱える課題を説明している。


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