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単に黒くて赤外線を吸収するだけではない新たな太陽光-熱利用

太陽光を高効率かつ高速に熱に変換する「光熱変換フィルム」開発

2015年04月15日 16時06分更新

文● 行正和義/ASCII.jp

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金属ナノ粒子を表面に固定したマイクロビーズを用いる

 大阪府立大学は4月14日、金属ナノ粒子を表面に固定したマイクロビーズをポリマー基板上に配置することで太陽光を高効率かつ高速に熱に変換するシートを開発した。

 球殻状の金属ナノ粒子集積構造体をポリマー基板上に配列したもので、擬似太陽光を照射するとわずか100秒で25度から70度に温度向上が見られるという。

 これは黒い物体が太陽光の赤外線を吸収して熱を持つのと異なり、局在表面プラズモンと呼ばれる原理を利用している。金属ナノ粒子の表面に生じる表面プラズモン共鳴は電子が振動して擬似的な粒子として振る舞う現象で、光によって誘導される電流など各種の現象となるため太陽電池の高効率化といった用途が期待されている。

 今回の光-熱変換においても赤外線だけでなく太陽光に含まれるさまざまな波長成分を熱とするため、一般的な放射熱の吸収よりもはるかに高い効率で熱となる。大阪府大の研究チームでは、シートに塗るだけで効果を発揮するためコストも安く、建物や農業への熱供給といった用途から、熱-電気変換デバイスと組み合わせて新しいタイプの携帯電源など、さまざまな可能性を持つとしている。

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