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松村太郎の「西海岸から見る"it"トレンド」 第60回

伊藤園が「茶ッカソン」 シリコンバレーと融合する日本文化

2015年04月02日 15時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII.jp

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 冒頭からダジャレじゃないかと言われるかもしれませんが、この言葉、なかなか風味と味わいが深いものです。

 エンジニアの腕とアイディアを試す、時間制限ありのプログラミングコンテスト「ハッカソン」と、日本人の心の飲み物ともいえる「お茶」。この2つが融合した「茶ッカソン」という名前は、シリコンバレーと日本の文化の交わりを、ユーモラスに表現した言葉なのです。

 このイベントは、お~いお茶でおなじみの伊藤園が、様々な企業とコラボレーションして進めている企画です。第1回をシリコンバレーのEvernote本社オフィスで、その後東京でも2回開催し、たくさんの人々がお茶について真剣に考えるイベントとなりました。

 こうしたお茶にまつわる活動は、新たな展開を見せ始めています。

日本では何気なく手に身近にある緑茶のボトルだが、シリコンバレーのエンジニアの間では人気がある飲み物となっていた。写真はEvernoteの社員との座談会での一コマ。自然とお茶に手が伸びます

Googleではなんと毎月6万本の「お~いお茶」が消費!

 伊藤園のお~いお茶がシリコンバレーに受け入れられつつあるという話は、以前本連載でも紹介しました(関連記事)。

 苦いお茶を甘くせずに飲むカルチャーがなかったこちらで、カリフォルニア人を刺激する「ナチュラル」「ヘルシー」というキーワードと、すっきりとした飲み口は、エナジードリンクを大量消費していたエンジニアにピッタリだったのです。

 現在では、冷蔵ケースがあるテック企業なら、お~いお茶のボトルを見かけない方が珍しい、といっても過言ではないほどで、巨大なキャンパスを構えるGoogleでは、毎月6万本ものボトルが消費されているそうです。

 ちょうどある日の午後にGoogleのオフィスを訪ねる機会がありましたが、キャンパス内の各所にある冷蔵ケースには、ぽっかりと空白になっている棚が目立ちました。そこに並べられていたお~いお茶がすでに消費された、ということです。

 EvernoteのCEO、フィル・リービン氏が気に入って飲んでいることも知られており、シリコンバレーきっての日本人食通としても知られる同社日本法人会長の外村仁氏も、この地域で「自然に受け入れられ、当たり前になった」とこの5年の変化を振り返ります。

茶ッカソンでお茶が広まる

 さて、冒頭でも素晴らしいネーミングとして紹介した「茶ッカソン」。この取り組みは、日本文化を伝える手段として有望だと感じています。

 筆者はシリコンバレーで開催されたイベントを取材しました。Google、Appleや大小のスタートアップ、地域の企業などに勤める日本人がEvernoteのオフィスに集まり、どうすれば砂糖入りの炭酸飲料を飲んでいる人の半分を無糖の緑茶愛好者に変えられるか、無糖の緑茶のペットボトルが勝てるか?についてアイディアを出しました。

Evernoteで行われた茶ッカソンの風景。米国人のソーダ消費の半分をお茶に変えるアイディアを競った

 広報戦略、無糖飲料の企業間でのアライアンスなど、具体的な行動に移せるアイディアが集まりましたが、公共セクターと組むという意見も出てきました。

 例えば、ペットボトル飲料そのものを禁止にしようというサンフランシスコでの取り組みや、筆者の住むバークレー市では砂糖入りの飲料に対して課税する「ソーダ税」が決まるなど、環境問題、健康と医療費の問題に取り組むための法整備も進んでいます。

 こうした環境に合わせることができる点も、お茶のメリットと言えるかもしれません。

 伊藤園は東京でも茶ッカソンは2回開催しており、お茶をテーマにしたアイディア作りの活動を継続的に行っています。

東京で開催された2回目の茶ッカソン。LINE森川氏も審査員に加わるなど、お茶へのアイディアの結集の勢いは増していく

(次ページでは、「お~いお茶はクリエイティブサポートドリンクだ!」)

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