Q7:4:2:2/36bitや4:4:4/24bitへの対応は必要?
A7:現状は不要。ただし将来的には……
HDMI 2.0は昨年9月に発表された最新のHDMI規格。HDMI 2.0では新たに4K/60p信号への対応が追加されているが、昨年発売された4Kテレビがほぼすべて対応済み。HDCP 2.2への対応を別にすれば、HDMI 2.0対応については心配することはない。
ただし、4K/60p信号はいくつか種類があり、一言でHDMI 2.0対応といってもすべての信号に対応しているわけではない。これについて詳しく解説しよう。
4K試験放送で採用され、今後の4K放送などでもそのまま使われると思われる信号は「4K/60p/4:2:0/24bit」。4:2:0とはコンポーネント信号(輝度:色差「b」:色差「r」)を示したもので、簡単に言えば、輝度に対して色信号は1/4に圧縮されていると考えていい。bitは色深度を表すものだ。
これは、現行の地デジ放送やBDソフトも同様で、地デジならば1440×1080解像度で60p/4:2:0/24bitとなるわけだ。最初に言った、ほとんどの4Kテレビが対応している4K/60pとはこれのこと。4K放送にも対応できるので、将来性を含めてほとんど実用上の問題はない。
このほかには、4K/60p/4:2:2/36bitや4K/60p/4:4:4/24bitなどがある。こちらについては、信号の帯域が約10Gbpsから約18Gbpsへ拡大されるため、今春発売された4Kテレビはほぼすべて対応しているが、ソフトウェアアップデートで対応した昨年発売モデルでは対応できない。
放送などでは使われないこれらの信号だが、例えばチューナー機器やBDレコなどで映像をより高画質化するために、4:4:4/24bitや4:2:0/36bitにアップコンバートして出力することがある。こうしたより情報量の多い信号で4Kコンテンツが提供される可能性もある。
実際のところ、フルHDでもBDレコーダーによっては4:4:4/24bitでの出力をしたり、BDのMGVCソフトのように36bit記録されたものもあるので、4Kでも同様のことが起こる可能性はある。将来性を考えた拡張規格のようなものと考えていいだろう。
Q8:4K試験放送のほか、4Kコンテンツはどれだけ増える?
A8:ネット配信は開始決定。BDのパッケージメディアは検討中
今後登場する4Kコンテンツについては、まだまだ検討中のものがほとんどのため、おおまかに概要を紹介しよう。
4K試験放送はすでに紹介した通りで、秋から年末に向けて予定されている本放送も同様の方法で行われる見通しだ。4K放送は、映像の情報量が極めて大きいため、地上波での放送はあまり現実的ではない。本放送もCSまたはBSによる衛星放送、およびCATVでの再配信が主体となる。
4K動画配信については、NTTぷららの「ひかりTV」が10月にサービスを開始する予定。提供するコンテンツとしては「相撲4K」や「宮里美香 Shot in 4K」「高度8000mからの日本列島」「下町ボブスレー 大田区の挑戦」といったものがラインナップされている。
こちらも受信には専用チューナーが必要。NTTぷららが対応チューナーをリリースする予定だが、前述のシャープの4Kテレビ「AQUOS UD2」シリーズには対応チューナーが内蔵されており、LANをつなげばそのまま視聴可能だ。
このほかCATVなどでのサービスなどもはじまると思われる。テレビ放送が衛星放送主体になることもあり、インターネット接続が広く普及している現状を考えると、4Kコンテンツの提供としては主流のものになっていく可能性がある。
もうひとつ検討されているのが、BDに4Kコンテンツを記録したパッケージメディア。3層や4層メディアを使えば容量の問題は解決できるようだが、フルHDのBDソフトの販売が決して思わしくない状況で、パッケージメディアとして4Kコンテンツを発売するメリットがあるかどうかは少々疑問がある。
このあたりは、ユーザーのニーズなども含めて検討されると思われる。個人的には、放送や配信される4Kコンテンツよりも圧倒的に画質・音質に優れたものが提供できるならば、パッケージメディアの登場には期待したいところではある。
(次ページに続く、「ホームシアター機器も4K対応が必要?」)
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