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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第214回

暗号化通信やGPGPUなど現在も活躍するコプロセッサーたち

2013年08月05日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/

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 前回前々回は、比較的一般的なユーザーにもまだ身近な範囲のコプロセッサーを取り上げてみたが、今回はもう少し外れた部分をいくつか解説していこう。

SCSIなどのストレージ分野で
活躍したコプロセッサー

 ストレージの分野はかなり昔から、高機能なアクセラレーターが投入されてきた分野である。おそらくこの分野の最初は、Adaptecの「AHA-1742」ではないかと思われる。「AHA-1742」は、EISAバスで動作するFast SCSI用のDMAコントローラーであったが、内部にRISCベースのPhaseEngineと呼ばれるCPUを搭載しており、これでプロトコル処理を一部ハンドリングしていた。

PhaseEngineを搭載したAdaptec製PCIパス用UltraSCSI(SCSI-3)ホストアダプター

 ただ最初のPhaseEngineは4MIPS程度の性能だったと記憶している。これに続き、やや性能改善した(確か10MIPS)のPhaseEngineを搭載したAIC-7xxxシリーズというコントローラーも投入され、AHA-2742/2842/2942といったSCSIコントローラーにそれぞれ採用された。

 もっともこの頃からPC向けはIDEが主流になってきたため、SCSIコントローラーはもっぱらサーバーやワークステーション向けとなっていく。またSCSIもFast SCSIからUltra/Ultra2/Wide Ultra2/Ultra160……と、どんどん高速化していき、より高い処理性能が必要になった。この結果、例えばUltra160に対応した「AIC-7899」というコントローラーは、20MIPSのPhaseEngineを2つ搭載することになっている。

「AIC-7899」を搭載したAdaptecの「PowerDomain 39160」

 ただSCSIそのものは、Ultra320(320MB/秒)あたりで打ち止めになったが、これに替わってSAS(Serial Attached SCSI)が普及するようになってさらにスピードが上がったことに加え、Ultra SCSIの普及の頃から新たにRAIDへの要求が出てきたことで、さらに高いアクセラレーター性能が必要になってきた。

 RAIDといっても、RAID 0やRAID 1であれば、それほどアクセラレーターの機能は必要ない。問題はRAID 5の場合で、この場合はデータのXOR演算を常時行なう必要がある。このためハードウェア的にXOR演算を行なうとともに、その他のRAIDにまつわる処理をまとめて処理することで、なるべくCPU負荷を減らそう、という方向に進化した。

 こうしたカードには様々な種類のCPUが利用されることになった。例えばインテルならば「i960」(関連記事)や「XScale」(関連記事)をストレージの分野に投入した。他にもARM/MIPS/PowerPCといったプロセッサーを搭載したり、専用のASICを投入したメーカーもある。

2002年にインテルが披露した、XScaleの目指す市場を示したスライド。2002年ということもあり、クライアントがPentium 4だったりするのがちょっと懐かしい

 こうした市場はいまだに健在であるが、最近ではHDDに替わってSSDが利用されるようになった結果、真剣に処理が間に合わなくなりつつある。

 一部のベンダーはSSDを単にSAS/SATAで繋ぐのではなく、素のフラッシュメモリーを直接接続する形でRAIDを構成する製品を投入し始めた。こうなるともう汎用CPUでは到底処理が間に合わないので、FPGAもしくはASICでコントローラーを作るという具合になっている。

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