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もしも私が死んだら……万が一に備えるSNS対策

2013年07月17日 07時00分更新

文● 寺田祐子(Terada Yuko)/アスキークラウド編集部

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 6月20日、神奈川県横浜市瀬田区で女子大生(19)が殺害される事件が起きた。犯人は元交際相手の大学生(20)で、無理心中を図ったとして容疑を認めているという。2人はTwitterを使用しており、ツイートを非公開設定にしていなかったため「NAVERまとめ」や「2ちゃんねる」に情報と共に写真が流出。果ては友人のツイートまで晒される事態に広がった。

SNS

死後に備えるSNS対策とは

 自分や周囲に不測の事態が起きたとき、SNSに何気なく投稿した文章や写真がネットに拡散される可能性は否定できない。何か対策はあるのだろうか。

 Twitterの場合、故人の死亡証明書や、身分証明書のコピーなどの書類を用意し、米国サンフランシスコのTwitter本社に郵送またはファクスするとアカウントを停止できる。Googleも同様で、カルフォルニアの本社に書類を郵送しなければならない。

 なぜ、本社に送らなければならないのか。Twitter広報に聞くと、「Twitterを初めてご利用される場合に規約に同意いただくのですが、この規約はサービスを提供しているTwitter本社と取り交わすことになっています。そのため、どうしても本社にご連絡をいただくことになってしまいます」とのこと。メールでの送付については、「法的な書類などが含まれますので、できればオリジナルの書類を郵送でお送りいただくようにお願いしています」という答えだった。

 Facebookの場合、ウェブから申請を出せば、タイムラインとすべての関連コンテンツが完全に削除できる。ただし申請は身内に限り、直系の親族または遺言執行人であることを証明する書類をアップロードする必要がある。身内以外は「追悼アカウント」を作成することができ、新しい友達は承認されなくなる。こちらも死亡証明が必要だが、死亡記事またはニュース記事のURLなどでもいい。

 mixiの場合、「ユーザーの身内からアカウント削除の依頼を受けた場合、必要書類を提出すると数日中に対応する」(mixi広報)。友人や知人からの申告には、家族から問い合わせてもらうよう誘導しているという。こちらも、死亡者の登録メールアドレスやアカウント情報やアカウント所有者が死亡したことを証明する公的書類、申請者が死亡者の相続人であることを証明する公的書類、申請者の本人確認資料を用意して郵送する。

 国内ですら公的な書類を用意する煩雑さがある。ましてや、海外を本拠とする企業の場合、海外に郵送しなければならず、さらにハードルが高くなる。しかし、「なりすまし」などのリスクを考えると、致し方がないことなのかもしれない。

 簡単にできる対策としては、非公開設定にする、個人情報をあまり掲載しないといったことだが、他にも何か対策はないのだろうか。

if i die

死後にメッセージなどを送れるアプリ「if i die」

 日本ではまだ利用できないが、米国のGoogleでは一定期間Googleのサービスを使わないと、データを完全に削除するか、信頼できる相手にデータを譲り渡すかを選択できる設定がある。また、米Legacy Lockerでは、ユーザーが亡くなった場合、アカウント情報などを含むオンライン上のデータへのアクセス権を付与するサービスを提供している。

 別れの言葉を遺すユニークなサービスもある。Facebookアプリ「if i die」は、Facebookの友達を3人を「信託先」として選び、死を彼らが認めると、自動的に別れのメッセージや動画を送ることができるというものだ。万が一に備える意味でも、このような「死後」のサービスが、今後日本でも広がっていくことに期待したい。


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