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ニワンゴ杉本誠司代表が語る

ニコニコは「非常識」じゃないと運営できない

2013年02月01日 11時00分更新

アスキークラウド編集部

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1月22日、東京某所で日本映画テレビプロデューサー協会の主催のもと、「ニコニコ動画」を運営するニワンゴの杉本誠司社長によるメディア関係者向けの講演会が開かれた。ネットで必要とされる「センス」とは何なのか。ニコニコ動画を例に、あえてグレーな危険球に手を出すという「非常識」な運営手法の一端とその狙いを明かす。

 現在、ニコニコ動画は176万人の有料会員を含め、3000万人もの会員が視聴していることになるが、杉本氏はそれでも決して「マスメディアではない」という。

 「内訳を見てみると『ボカロ』『踊ってみた』『痛車』など、それぞれのカテゴリーに分かれて『民族化』している。そして彼らはめったに交わらない。言葉づかいもすごく気を遣う。同じ日本人なのに、ひとつのカテゴリーで伝わる言葉が、ほかではまったく伝わらない」


ネットは手間がかかる、楽できない

 ニコニコ動画には数えきれないほど細かいカテゴリーがある。どこを狙うのかを定め、さらにそのルールやマナーも知らなければならない。杉本氏は「ネットはそういう手間がかかることが多く、(ビジネスをするとき)ラクできるということはない」と釘を差す。

 また、ニコニコのカテゴリーには、まずソースとなるコンテンツがあり、それを見たユーザーが他人と共有する、という流れがある。

 たとえば「歌ってみた」カテゴリーなら、まずユーザーが「歌」動画を投稿する。動画を見たユーザーは、「この動画いいよ!」と友だちに教える。自分の動画が見られたことで投稿者は「歌」に対する愛情を深めていく。それを見た誰かが「歌ってみようかな」と思い……「歌ってみた」好きがネズミ算式に増えていく。

 そこではマスコミで仕掛けられるような素早いヒットとはちがい、ゆっくりと大ヒットにつながるケースが多いという。ニコニコ動画では、こうしたプロセスの広がり、深まりを大事にしていると杉本氏は語る。

 「ニコニコ動画は想像以上に時間がかかって、多くの人々に情報が伝わっていく場所です。カラオケにも入ったボカロ曲『千本桜』は一瞬で流行ったものではなく、一年くらいでようやくユーザー全員が知るような曲になった。時間をかけたぶん、定着したあとは息が長い。ニコニコ動画の優秀なコンテンツは、そんな演歌のような成長の仕方をしています」

 ネットは手間がかかることが多く、コンテンツはとてもゆっくりとしたスピードで広がっていく。だが、これまでのマスメディアでは、一方向にしか発信ができず、それ以上は広がらなかった。話題を広げようとすれば、テレビなら全国放送、新聞なら全国紙と、コンテンツホルダーの負荷は大きくなるばかり。「そういった展開を、より少ない資源で効率的に進めたいと思うならネットが力になると思います」

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