マイクロフォーマット(microformat)とは、HTMLに書かれている情報の意味を、検索エンジンのクローラーなどに伝えるためのフォーマットのことです。通常のHTMLタグでは「見出し」や「本文」といった大まかな構造を示すことはできても、それぞれのテキストがどのような意味を持っているかまでは表現できません。
マイクロフォーマットでは、HTMLタグに「class」「rel」「rev」などの属性を付与してより詳細な意味を表します。これらの属性は通常、制作者が任意の値を指定しているものですが、マイクロフォーマットではルールに沿った値を指定することで、機械が解釈しやすい形式で情報の意味を表現できます。
マイクロフォーマットの具体例
マイクロフォーマットの仕様は、任意団体の「microformats.org」がまとめており、用途ごとにさまざまなフォーマットが用意されています。
たとえば、「hRecipe」は料理のレシピ情報のためのフォーマットで、料理名や調理時間、カロリー、写真などの情報を表現できます。ほかにも、イベント情報を表す「hCalendar」、連絡先情報を表す「hCard」、書評などのレビュー情報を表す「hReview」、履歴書情報を表す「hResume」などの多くのフォーマットがあり、頻繁に追加、更新されています。
最新の動向
マイクロフォーマットのもっとも分かりやすい利用例は、Google検索における「リッチスニペット」でしょう。リッチスニペットとは、Web検索の検索結果を拡張し、レシピ情報や商品情報、レビュー情報などを検索結果に表示するものです。たとえば、「トマト パスタ」のように料理名で検索すると、マイクロフォーマットを導入しているサイトでは、タイトル、説明文、URLに加えて「調理時間:20分」「カロリー:550Kcal」などの情報が表示されます。Webサイトに実際に移動しなくても必要な情報をすばやく得られるのがメリットです。
マイクロソフトのInternet Explorerに搭載されている「WebSlice」機能も、マイクロフォーマットのhAtomを簡略化した「hslice」を使って実装されています。WebSliceは、Webページの一部分をブラウザーに登録しておき、「お気に入りバー」から更新情報を確認できる機能で、価格比較サイトの「価格.com」や「Yahoo!オークション」などで導入されています。
このように、マイクロフォーマットの利用例は広がりつつありますが、最近では、マイクロフォーマットとよく似たコンセプトの「マイクロデータ」(Microdata)という仕様も登場しており、2011年現在、W3Cで標準化が進められています。今後の動向を注視しましょう。
著者:アンティー・ファクトリー
アンティー・ファクトリーはWeb戦略だけでなく、タッチパネルやスマートフォンなどの各種インターフェイス・アプリケーション開発、次世代広告コミュニケーションの設計や開発を行っています。ワールドワイドなクリエイティブを展開し、発展しつづける会社です。