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松村太郎の“モバイル・ネイティブ”時代の誕生を見る 第9回

SIMロックフリーの恩恵を体感――b-mobile WiFi+L-05A

2010年06月10日 16時00分更新

文● 松村太郎/慶應義塾大学SFC研究所 上席所員

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初めてSIMロックフリーを体験

 どこでも自分の周りが無線LANが使えるエリアになる。これがモバイル無線LANルーターの本質であるが、僕にとってSIMロックフリーの端末のメリットを体験する初めてのチャンスともなった。

 これまでL-05Aというドコモのデータ通信端末とデータ定額プランを契約して、外出先でのネット接続を行なっていた。L-05A自体はUSBモジュール型なのでかさばりはしないが、この端末を単独で持っていただけではiPadやスマートフォンなどのゲーム機をネットに接続することができない。

もともと契約していたドコモ「L-05A」(左)と、今回新たに導入した「b-mobile WiFi」。本来ドコモが想定した使い方とは異なるのかもしれないが、ドコモのデータ定額の回線1つで2種類のデータ端末を使うことができた

 これまでは出先でネットに接続する端末がノートパソコンだけだったので特に不便を感じたことはなかったが、iPadが加わった瞬間に事情が変わった。iPad Wi-Fiモデルは当たり前のことだが、公衆無線LANスポット以外でネット接続を行なうことができない。複数の公衆無線LANサービスを契約しているため、あまり不便ではなかったのだが、たまたま打ち合わせで入った店に無線LANがないと、打ち合わせ中にウェブサイトを見せて話をすることはできない。

 そこでモバイル無線ルーターがほしいなと思っていたものの、これまでならキャリアの端末と契約をセットで増やさなければ手に入れることはできなかった。しかしb-mobile WiFiはキャリアの契約と紐付いていないため、端末だけ買い足してSIMを差し替え、通信設定だけすれば、これまでと同じ料金で使い分けることができるようになるのだ。

 契約を増やさないというメリットがあったが、それ以外にもメリットはある。ノートPCしか使わない日は、決してモバイル無線ルーターである必要はない。バッテリの充電などを気にせずに使いたい場合はノートPCにUSBモジュールをさして使った方が効率的だ。そんなときも手元に2台の端末があって使う端末が選べるため、その日の行動に合わせて端末が選べるようになった。

 SIMロックフリーで端末が流通すると言うことは、端末を買う際、そして買った後の自由度が非常に高まる事を意味するのだ。

通信で何をするか? を考えるようになる

 朝、端末を選んで出かけるようになると、今まで特に考えたことがなかった「今日、通信をどのように使うだろうか」という点に、朝の1分の時間が割かれるようになった。自分のその日の予定されている行動、あるいは仕事と照らし合わせて、ノートPCかiPadか、USBモジュールかモバイル無線ルーターか、あるいは全部持った方がいいのか。そういうことを、通信をどう使うかという視点で考えるようになった。これらとは別にiPhoneは常に持ち歩いているので、場合によってはiPhoneとノートだけという日もある。

1枚のSIMを、その日のスケジュールや用途に合わせて端末に差し替えて使っている。さすがにデータ端末だけでは洋服のワードローブとはほど遠いが、スマートフォンでも同じようなことができるようになるとおもしろいのではないだろうか

 この朝の1分は「何を着ていくのか」とワードローブをみて考える様子に似ている。もちろん1台で全部済むようになれば、それに越したことはない。しかし毎日同じスーツやジャージでいいのか、と言われると、やはりそれも違うし、季節によって衣替えもあるだろう。SIMロックフリーの端末でSIMを差し替えながら通信を使うようになって、さすがに季節単位ではないにしても、ケータイの衣替えはどんなときに起きるのだろう、と新しい視点の思考が始まった。SIMロックフリーはそんな体験だったのだ。


筆者紹介──松村太郎


ジャーナリスト・企画・選曲。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。嘉悦大学、ビジネスブレイクスルー大学でも教鞭をとる。テクノロジーとライフスタイルの関係を探求。モバイル、ソーシャルラーニング、サステイナビリティ、ノマドがテーマ。スマートフォンに特化した活動型メディアAppetizer.jp編集長。自身のウェブサイトはTAROSITE.NET


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