情報洪水時代には新聞のような
ブロードキャスト型では限界がある
朝日新聞社は、ケータイ向けのSNSサイト「参考ピープル」を開始した。現在は1000名限定のオープンβ版として提供されており、正式なスタートは9月1日を予定している。
参考ピープルは利用者にとって“参考”になる情報を提供するサービスをコンセプトとしている。実際に企画した朝日新聞社 デジタルメディア本部商品企画セクションの洲巻圭介氏によれば、「ケータイの世界ではまだ検索機能は不便で情報は見つけにくい」という。
そこでインターネット上にあるさまざまな話題やURLをユーザーが投稿しあうことで、参考になる情報を見つけられるようにする。具体的に中心となるサービスはミニブログとソーシャルブックサービス。投稿したURLはユーザーが付けたタグによって管理でき、その話題の情報を横串して参照することができる。
とはいえ「CGMとしてはかなり後発なので、(利用者が)参加する意義を考えないとなかなか難しい」ということで、協力を依頼したのが「電脳フィギュアARis」などで知られる芸者東京エンターテインメント社。
同社との協力で開発されたのが、いわゆる「人工無能」技術を用いたキャラクター展開。「桜子」と名付けられたキャラクターが、時事の話題やテーマを自然文で自動的に配信することで、参加者がそれに絡めた投稿をしやすくする。
また、朝日新聞社がこのようなサイトを提供することになった経緯についても洲巻氏によって説明が行なわれた。同社は長らく自前で制作した情報をブロードキャスト方式で配信してきたが、実際に情報を伝達するメディアが紙からネット、ケータイへと変わっても、その仕組みは新聞から大きく変わらず、限界があると見る。
そのような状況の中で30代を中心に新聞離れが加速している。「彼らは別に情報を必要としていないわけではない」が、「コミュニケーションから情報を仕入れるネタ型のようなユーザーには(ブロードキャスト方式では)絶対に情報が届かない」。そこで自社コンテンツに限定せず、ユーザー1人1人が必要としている情報を、ネット上からの情報も含めて、整理した形で提供していきたいとする。