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無線LANでブロードバンドを共有する

実は日本が世界一。FONの未来は?

2008年04月25日 16時00分更新

文● 岡崎勝己 写真●吉田 武

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月刊アスキー 2008年6月号掲載記事

バルサフスキー氏
FON WIRELESS Limited 創設者&CEO マーティン・バルサフスキー(Martin Varsavsky)氏。アルゼンチン出身で、FONの創業以前にも通信事業、ネット事業などですでに大きな成功を収めている事業家でもある。

 無線LANのアクセスポイント(AP)を共有し、あらゆる場所から無料でインターネットにアクセスできる環境を整えよう――。無線LAN機能を実装した製品の裾野が急拡大する中、冒頭の理念を掲げた草の根の“革命”が密かに進みつつあることをご存知だろうか。2005年11月にスペインで設立されたベンチャー企業、フォンの提供するサービス「FON(フォン)」がそれだ。

 世界中で約75万名(3月現在、以下同)、国内でもすでに約6万4000名の会員を集めるFONの特徴は、WiFiコミュニティとして誕生した同社ならではの独自のビジネスモデルにある。一般に商用通信サービスは通信事業者がインフラを整え、その利用料を徴収する。これに対してFONでは、FTTHやADSLをすでに自宅に引いている会員がFON専用ルータ(店頭で2000円程度)を購入して設置する。一般のユーザーはFONを安価な無線ルータとして利用することもできる一方、帯域の一部を他者に提供することになる(その代わりに他のAPも無料で利用できる)。これにより、FONはインフラ整備にまつわる多額のコスト負担から開放され、会員に対してAPを無料開放できるわけだ。そしてAP数では実は日本が世界でトップである。

 利用者も既存の商用無線通信の利用者とは明確に異なる。「商用のWiFiサービスのターゲットはビジネスユーザー。対してFONが狙うのはあくまでも一般ユーザー。ユーザー層が異なるため、今のところ競合企業は存在しない」(創業者のマーティン・バルサフスキー氏)。

 同社の取り組みは多くの企業から関心を集めており、すでにGoogleやSkype、伊藤忠商事などの大手企業が同社に出資。その一方でFONのAPへの接続用アプリケーションの開発も数多く進められており、iPhone向けの「iFon」などが公開されている。今年2月には公衆無線LANサービスのローミングでライブドアとの提携を発表し、国内におけるAP数が約3万5000にまで拡大するなど、サービスエリアも急速に拡大しつつある。

 ただし、FONのビジネスはあくまでもこれからが正念場だ。「現時点での業績は赤字。2009年までの黒字転換が最大の経営課題」(バルサフスキー氏)。

 同社の収益の柱となるのが、会員以外からのサービス利用料、APへの接続時に掲示する広告出稿、専用ルータの販売、の3点。今後はそれらからの収益をいかに最大化させるかについて、検討を進めている。ネットユーザーの拡大期、無料をうたったISPが相次いで生まれ、そして消えていった。果たしてこの革命にはどのような未来が待っているのだろうか――。

FONの国別会員数/AP数日本では必ずしもその存在、思想が広く伝わっているとは言い難い「FON」だが、AP数を見れば実は日本が世界トップなのである。

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