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終身雇用がないだけに、職探しは一般光景

中国で2500万人が利用 お隣の転職サイト事情

2007年07月27日 00時00分更新

文● 山谷剛史

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月刊アスキー 2007年9月号掲載記事

人材市場に並ぶ人々の写真

中国は、公務員以外は「将来安定」という言葉とは無縁で、シビアな世界だ。終身雇用のない環境だからこそ、人々は積極的によりよい環境を求め、転職を行なう。大学新卒採用も、大学生急増を背景に6割程度と言われ、氷河期だ。

中国の調査会社iReserchによると、中国の就職支援サイトの市場規模は、新聞広告、「人材市場」と呼ばれる職安に続く3番目の存在で、2500万人が利用する。3番目とはいえ、利用者にしても市場規模にしても年平均50%程度の拡大をしていることから、数年以内に人材市場を抜く存在となるのではないか、と言われている。

現在多数の中国企業による就職支援サイトが立ち上がっているが、有名なのは10サイト程度だ。特に人気のサイトは、1000万人以上の会員を抱え、ページビューは1日2000万を越える。ネットができる都市に住む若い会社員なら「仕事を探したい」と尋ねれば「ここを見れば?」と人気のサイトをいくつか列挙してくれる。彼らの推薦の理由も「表示が速い」「情報量が多い」など人それぞれ。就職支援サイトはビジネスとして魅力的なのだろう、日本を含めた外国企業も中国の就職支援サイトに投融資を行っている。その中でも日本は特に積極的で、昨年リクルートは人気サイトの「51job」の発行株式の15%を1億1千万ドルで購入、同じくエン・ジャパンは1千万ドルを投資し800HRという就職支援サイトを中国企業と提携し立ち上げている。

ユーザー側の動向はと言うと、就職支援サイトを利用する大多数は実は大学生ではなく社会人だ。大学生のインターネット利用率は、都市部に住んでいる場合には、ほぼすべてと言ってもいい。だから当然大学生のほうが多そうなものだが、彼らの場合は合同企業説明会を経由するのが一般的。そこで社会人の利用が増えるというわけだ。利用者たちは、1日数回から数日に1回程度のアクセスをし、1回の求職で履歴書を送る会社は20社以下というのが一般的だ。しかし中には100社以上に送る者もいる。その涙ぐましい努力たるや、社会状況は違えど、失業率が5%を超え、就職氷河期が到来した頃の日本を思い起こさせる。

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