月刊アスキー 2007年7月号掲載記事
この4月以降に発売する3G携帯電話には、GPSの搭載が原則義務化された。20~40代の9割以上が携帯を利用するいま、GPSが載ると何が可能になるのか。
ベンチャー企業ロケーションバリューは昨年4月から、携帯の位置情報を利用した人材サービス「おてつだいネットワークス」を展開している。時間が空いて、ちょっとでも働きたいユーザー(ワーカー)は、「今ヒマ」を宣言。すぐにでも人手の欲しい依頼企業は、「今ヒマ」を宣言しているワーカーの中から、近くにいる相手に仕事をすぐに依頼できる。
現在、景気は回復局面で求人は増えている一方、労働者人口は今後確実に減少し、求人と求職のギャップは増大している。そこで同社の砂川 大代表取締役が考えたのは、労働時間の細分化だ。細分化した労働時間を企業のリアルタイムなニーズにうまく適合できれば、ギャップを減らすことができる。さらに位置情報を加えることで、移動に要する時間やコストも削減できる。砂川氏は「非正社員はすべてこのプラットフォーム」でマッチングさせたいと語る。
もっとも、同社は今後人材ビジネスを生業とするわけではない。「私たちは(ウェブ上だけの)グーグルよりも大きな、現実世界の行動分析データベースを構築できる」と砂川氏が意気込むように、同社が追求しているのは、位置情報が生み出す価値だ。位置情報と労働の組み合わせだけでなく、位置情報と食事や買い物等を組み合わせて、近くのレストランを探す、あるいは移動するビジネスマンを追尾して配達するなど、新たなサービスを生み出すことを目指す。