再エネで要注目。特許から見るリソースアグリゲーションの動向
考察
リソースアグリゲーションに関連する出願件数はこの10年間で顕著に増加しており、今後の政府主導によるGX実行推進が加速すると、増加の一途を辿ることが想定されます。
同様に、出願人もこの10年間で顕著に増加しています。出願件数と事業規模に相関があると仮定すると、小規模事業者による出願が増加しており、リソースアグリゲーションへの新規参入の多さを示唆したものと考えられます。また、2016年の完全自由化の影響を色濃く受け、新規参入や出願件数が増加しているのものと考えられます。
過去を振り返ると、1980年ごろから基本発明が存在していたことが確認されました。時代の変化とともに、社会に必要な技術の開発が行われてきた経緯が確認できました。
特に、現在注目を浴びているP2P電力取引では、ブロックチェーン技術を用いるものが確認されました。ブロックチェーン技術が持つ以下の特徴が、P2P電力取引と親和性が高いためと考えられます。
ブロックチェーン技術が持つ特徴は以下のようにまとめられます。
・耐改ざん性の高さ
・取引履歴の真正性の高さ
・スマートコントラクトにより分散拠点での自動取引の実行が可能
・非中央集権的なシステム構成
今後も継続してP2P電力取引に関する技術開発が進められ、社会に実装され整備されることで、再生可能エネルギーの普及が後押しされると考えられます。
継続的に技術開発が激化していけば、小規模分散型の電気網が地域ごとに確立され、個人や小規模事業者による発電、および余剰電力の取引が広く浸透し、地域コミニティでエネルギーを自給自足する、クリーンかつサスティナブルな社会の実現が間近に迫っている印象を受けました。
政府が推進する2050年のカーボンニュートラルの実現に向けて、今後も継続して市場が拡大し、新規参入が増える可能性があります。仮にリソースアグリゲーション事業に新規参入をする場合には、他社特許の確認、および自社技術の権利化による保全が必須と考えられます。
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著者紹介:IPTech特許業務法人