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再エネで要注目。特許から見るリソースアグリゲーションの動向

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知財で読み解くITビジネス by IPTech

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日本での出願の傾向

 今回の特許情報の分析にあたって、特許庁が今年の6月に公表したグリーン・トランスフォーメーション技術区分表(GXTI)を活用しました。

 このうち、今回の分析の対象として、gxB:省エネ・電化・需給調整における、08:電力系統の需給調整:a)VPP・ネガワット・リソースアグリゲーションを選定しました。

 分析対象とした母集合は以下の通りです。

GXTI:グリーン・トランスフォーメーション(GX)に関する技術を俯瞰する技術区分表であり、各技術区分には特許検索式も紐付けられています。GXTIは、GX技術をどのようにカテゴライズするか、そしてカテゴライズされたGX技術に該当する特許文献をどのように検索するかを示すものとなっています。出典:特許庁統計資料、GX技術区分表(https://www.jpo.go.jp/resources/statistics/gxti.html

 

表1 分析対象とした母集合の技術分野
グリーン・トランスフォーメーション(GX)技術を特許情報に基づいて分析するための技術区分表の公表に関する2022/6/23の経済産業省のニュースリリースより(https://www.meti.go.jp/press/2022/06/20220623001/20220623001.html)

 今回の検索式は、上記の技術分野に定義されていた検索式を参考にして、以下のとおり設定しました。

検索システム:CyberPatentDesk(国内)
調査対象文献:公報種別、公開特許、公表特許、再公表、早期公表、早期再公表、特許公報、公告特許、早期登録情報
検索式:
[1] IPC(最新):H02J3 +H02J13 +G06Q50/06
[2] 全文 ネガワット +仮想発電 +ヴァーチャルパワープラント +バーチャルパワープラント +VPP +電力取引 +電力仲介 +アグリゲ
[3] 全文:スマートグリッド +デマンドコントロール +デマンド制御 +デマンド調整 +デマンド調節 +需要応答 +需給調整 +節電 +需要反応 +省エネ +リアルタイム価格 +実時間価格制度 +即時価格 +即時プライ +RTP +DR +DSM +EMS +HEMS +BEMS +CEMS +FEMS +インテリジェントメータ
[4] 全文 :[デマンド *レスポンス]W1 +[リアルタイム *プライ]W1 +[エネルギ *マネジメントシステム]W3 +[スマート *メータ]W1 +[エネルギ *管理システム]W1 +[エネルギ *管理装置]W1
論理式 T=1 *2 *(3 +4)

検索結果:1604件

 分析対象とした特許出願の母集合における出願件数の推移を図3に示します。

図3 リソースアグリゲーション関連の出願件数の推移

 図3に示すように、 国内では、2010年頃から出願件数が大幅に増えていることが確認できます。いわゆる第2次クリーンテックブームと呼ばれる時期とちょうど重なっています。

 また、2012年から開始されたFIT制度に先立って出願件数が増加しはじめていることから、電力取引の自由化の流れにより出願件数が増加していることが確認できます。2016年の完全自由化の前の数年間で出願件数は顕著に増加していることからも、自由化の影響を受けていると考えられます。

 2000年台の後半と2010年台の後半とでは、出願件数は約30倍の増加になっています。

 次に、登録件数の推移について図4に示します。

図4 登録件数の推移

 図4に示すように、登録件数についても、出願件数の増加に伴い、右肩上がりに顕著に増加しています。特に2010年台の中盤から急激に増加し、2000年台の後半と、2010年台の後半と、では、20~30倍の増加になっています。

 次に、出願人数の推移について図6に示します。

図6 出願人数の推移

 また、出願人数と出願件数の内訳の推移について図7に示します。

図7 出願人数と出願件数の内訳の推移

 図6に示すように、出願人数も右肩上がりに急激に増加しています。特に、2016年頃からの増加が著しくなっています。この理由として、電力取引の完全自由化に合わせて、新規参入の事業者が大幅に増加し、それぞれが出願により自社技術の保全を試みていることが推測できます。

 図7に示すように、2016年以降は、件数の少ない出願人が増加していることが確認できます。出願件数と事業規模とに正の相関関係があると仮定すると、リソースアグリゲーションに関する事業は、2016年頃から小規模事業者の参入が著しい分野であることが確認できます。

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